渋谷の人気ビストロ『PEZ』の利益率を大幅改善! “新米”店長のこれまでの軌跡に迫る
渋谷にある魚介ビストロ『PEZ』。この19坪の繁盛店で、個性豊かなスタッフたちをまとめ上げる新米の店長がいる。永井智さん、34歳。彼の経歴は、いわゆる「飲食のエリートコース」ではない。30歳まで正社員経験なし。アパレル業界での挫折を経て、フリーターとして20代の大半を過ごした遅咲きの男は、いかにして連日賑わう店舗を回し、さらには利益率を劇的に改善させるマネージャーへと変貌を遂げたのか。その等身大の軌跡と、数字に裏打ちされた現場のリアルを追った。
渋谷の路地裏で2,000本のワインと格闘する日々
渋谷駅から徒歩10分。奥渋エリアに差し掛かる静かな路地裏に、連日熱気を帯びる魚介ビストロ『PEZ(ペス)』はある。約19坪、26席のコンパクトな店内に、所狭しと並ぶナチュラルワイン。客単価7,500円、連日満席の盛況を誇る正真正銘の繁盛店だ。
その中心で、店長兼ソムリエとして立ち働くのが永井さんである。オープンキッチン越しにお客と目線を合わせながら、手際よくワインを抜栓し、軽快なトークで場を温めていく。
「うちにはワインのメニューリストを用意していないんです。お客さまの好みを伺いつつ、今空いている10種類ほどのグラスワインから、料理に合いそうなものを提案していきます。忙しい中でいかに短い言葉でお客さまの心に刺さるように伝えるか。料理人との連携も大切に、チームでスポーツするような感覚で働いています」
店内のワインセラーには、常に2,000本前後のワインが眠る。オープンキッチンのライブ感の中で、若き料理人たちが作る魚介料理の状況を俯瞰しつつ、絶妙なタイミングでワインを提案する。決してトップダウンで指示を出すのではなく、「この料理、よく出るよね」「これなんで出ないんだろうね」と、料理人とフラットに言葉を交わす。主役である料理人をワインで支えながら、チームの空気をコントロールしていくのが彼のスタイルだ。
一見すると、飲食の最前線をスマートに駆け抜けてきた敏腕マネージャーに見える。だが、彼のここまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。






