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恵比寿『vivido』の激戦区を勝ち抜く「専門性」。経営者×シェフの理想的関係とは?

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SLICK代表の岩崎慶人氏(右)と三輪智一シェフ

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2026年3月、人気レストランが軒を連ねる恵比寿にオープンした『vivido(La Mia Cucina Piemontese)』(ヴィヴィド ラ ミア クッチーナ ピエモンテーゼ)。同店を運営する株式会社SLICK代表・岩崎慶人氏は「三輪シェフと出会っていなかったら、今回のオープンはなかった」と言い切る。

ストリートカルチャーを背景に店づくりを続けてきた岩崎氏と、北イタリア・ピエモンテ州の郷土料理を独自のフィルターを通して表現する三輪智一シェフ。異なるバックグラウンドを持つ二人が出会い、どのような化学反応を起こしたのか。激戦区で勝ち抜くための専門性、その先にある新たな食体験とは何か。岩崎氏と三輪シェフに話を聞いた。

二人の出会いが導いた「ピエモンテ料理」という新たな挑戦

18歳で料理の道へ進んだ三輪シェフは、約10年、都内のイタリアンレストランで研鑽を積み、28歳で渡伊。ピエモンテ州の一つ星レストラン『La Ciau del Tornavento(ラ・チャウ・デ・トルナヴェント)』に入店する。1年ほど同店で学んだ後、2025年元旦に帰国し、そのわずか1週間後の1月8日には、SLICKが代々木八幡に展開するイタリアンレストラン『LUCE』でシェフとして新たなスタートを切っていた。この驚くべきスピード感の裏には、イタリア滞在時からオンラインで何度も対話を重ねていた岩崎氏の周到なスカウト戦略があった。

岩崎氏は帰国後の三輪シェフの働きぶりを見て、彼が「料理人としての確かな技術と店全体を俯瞰する経営感覚」の両方を兼ね備えた有望な人材だとすぐに気付き、かねてより念願だった恵比寿での出店に本格的に取り組み始めた。

ガラス張りの外観からは、店内のカウンターで食事を楽しむ様子がうかがえる(写真提供:vivido)

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「イタリアンでの出店を考えていましたが、すでに恵比寿にはたくさんの競合店があります。そこで何かに特化した方がいいと思い、シェフと相談しました。自分としても専門性のある店の方が好きですし、イタリアンの中でもシェフが修業した地域に特化すれば、学んだことも存分に生かせると考えました」と岩崎氏。

こうして、伝統を尊重しながらも独自の解釈を加えた三輪シェフのピエモンテ料理と、岩崎氏の感性を生かしたスタイリッシュな空間づくりという、二人の個性が交差するレストランが形になっていった。

「OPEN」「CLOSE」の看板は掲げず、営業中はこの「ON AIR」の文字が点灯する

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あえてイタリアらしさを追わない岩崎氏の空間づくりの美学

岩崎氏は『vivido』の空間づくりについて「デッドストックのスピーカーや壁に掛けたアート、『ON AIR』のサインなど、インテリアはすべてオリジナルです。あえて空間をイタリアっぽくする必要はないと思っています。一番大切にしたのは料理のライブ感ですね」と話す。

その言葉を象徴するのが、店内のレイアウトだ。全面ガラス張りの外観から見えるのは、オープンキッチンを囲むように設えられた、美しい曲線を描くカウンター。お客は料理人とほぼ同じ目線で、一皿が仕上がっていく過程をライブのように楽しめる。その奥にはリラックスして過ごせるテーブル席と個室も備え、日常使いから記念日利用までシーンに応じた使い方ができるようになっている。

一皿一皿が出来上がっていくライブ感を楽しめるカウンター席

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「シェフはシェフの料理を作ればいいし、僕は自分が心地よいと感じる空間を作ればいい。その方が自然とマッチしてくるし、無理に近づける必要はないと思っています。ギャップがあっても、逆にそれが面白い」

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小坂知美

ライター: 小坂知美

学生時代からの食への探求心と食いしん坊が高じて、フードライターとして活動中。飲食業界でパティスリーやレストラン等の広報・PRに就いていたことから、取材を受ける飲食店側の立場も経験。作り手のこだわりと愛情が詰まった、美味しいものを食べているときが至福の時間。