恵比寿『vivido』の激戦区を勝ち抜く「専門性」。経営者×シェフの理想的関係とは?
「ピエモンテ料理」という専門性が生んだ新たなファンとの出会い
『vivido』をオープンして約3か月経った現在、三輪シェフは「ピエモンテ好きの日本人ってけっこう多いんだな」と感じたと話す。
「もちろんご存じない方もいらっしゃいますが、『イタリアに行ったことがある』というお客さまがとても多いですね。ピエモンテが『バローロ』や『バルバレスコ』など有名なワインの産地だからということもありますが、ピエモンテに知見のあるお客さまも多いです。イタリア好きの方たちが自然に集まってきている感じがあります」
客層は30~50代が中心。リピート率も高く、出店から間もない現在でもすでに週1回ほどのペースで来店する常連客もいるという。ピエモンテ出身のイタリア人客もいて、料理を懐かしんでくれたそうだ。
「イタリア料理の中でも『ピエモンテ料理』という専門性を追求したことが、イタリアンレストランが多い恵比寿の中で、この店ならではの個性につながったのではないでしょうか。まずはその価値を受け入れていただけたと感じています。ここを入口として、今後もっと広めていきたいです」と岩崎氏は話す。
日本食材で表現する「La Mia Cucina Piemontese(私のピエモンテ料理)」
もともと和食好きで、和食材にも注目していたという三輪シェフ。ピエモンテで学んでいた時にも「この料理を日本の食材で作ったら、もっとおいしくなるのに」とイメージを膨らませていた。「現地で学んだクラシックな料理も作りますが、ここで一番大切にしているのは、それを日本食材でどう表現するかです」と語る。
例えば、「名物 vividoのピエモンテ前菜盛り合わせ」は約10種類の前菜を一皿に盛り合わせたメニュー。郷土料理をはじめ、ピエモンテ料理をシェフ独自の解釈で再構築した一品も並び、店名に掲げる「La Mia Cucina Piemontese(私のピエモンテ料理)」を表現した人気看板メニューとなっている。
また、前菜の一つである『仔牛のハム「ヴィテッロトンナート」と蕗の薹』(1,980円)は、仔牛のハムをツナのソースで食べるピエモンテを代表する郷土料理の「ヴィテッロトンナート」に、ふきのとうをジャムにして添えた一皿。季節によって焼き茄子を添えたりと和の要素を取り入れた。
さらには、ピエモンテ発祥のデザート「パンナコッタ」にとうもろこしや新玉ねぎを加えたりと、そのアイデアは尽きない。
ピエモンテというカルチャーを「食」を通して恵比寿の日常へ
「ピエモンテで自分が見たもの、体験したものをここで伝えていきたい」と話す三輪シェフは、その思いを料理だけでなくメニュー名にも閉じ込めた。
メニューにある「Albaでよく食べてた思い出のアラビアータ」(1,650円)は、「パスタが大好きで、毎日同じパスタでも飽きない」という三輪シェフが、修業時代に現地でよく食べていた味を再現した一皿。「イタリア修業時代の賄い ギアラとほうれん草の煮込み」(1,980円)にも、自身の思い出がそのまま反映されている。
「読みにくいカタカナを並べたメニューよりも、この方が親しみを感じてもらえると思いました。注文時に簡単なエピソードを添えて料理を説明すれば、よりストーリー性もあって面白いし、お客さまとのコミュニケーションにもなります」
三輪シェフのアイデアに「その通りですね。即賛成しました。それもお客さまに寄り添うことの一つだと思っています」と岩崎氏も言葉を添えた。
「『ピエモンテ料理』といってもピンとこない方もいらっしゃると思いますし、メニューを見てもどんな料理か分からないものもあると思います。スタッフ全員に共通して伝えているのは、当たり前のことではありますが、必ずサービスの際にお客さまに『分からないことがあればお気軽にお声がけください』と伝えるということです。メニューはお客さまだけでなく、スタッフと一緒に決めていくというイメージです」
岩崎氏と三輪シェフは、グルメが集う恵比寿だからこそ、肩肘張らず日常的に通える店でありたいと話す。「今日行きたい」と思ったその日に気軽に利用してもらいたいという思いから、コースは7,700円を軸に11,000円、13,200円の価格帯を用意した。
さらに二人が同意見だったのは、「量の少ないコース料理は嫌い」ということ。「『コースを食べたのにお腹いっぱいにならない』『〆は他に食べに行こう』なんて言われたら最悪ですね」と笑顔を見せる二人。『vivido』では満足感、ボリューム感もとても大切にしている。







