学芸大学『喫酒さりんじゃ』に学ぶ「体験価値」の高め方。料理も内装も“ありそうでない”を追求
2026年3月、東京・学芸大学に開業した『喫酒さりんじゃ』。毎日仕込みに5時間かけて作る約50品の料理と、オリジナリティを工夫したドリンク、レトロ感のある居心地のよい空間の相乗効果で、激戦区での差別化に成功している。アパレルから36歳で飲食業界に転職した店主・夏山喜充氏に、ブランディングの裏側を取材した。
36歳でアパレルから飲食へ。和食の技術と繁盛店の経営術を学び、7年で独立開業
飲食トレンドの発信地のひとつ、東京・学芸大学に2026年3月、新たな注目店が誕生した。7.5坪の『喫酒さりんじゃ』だ。
店主の夏山喜充氏は、都内の大手アパレル企業に15年勤め、36歳で飲食業界へキャリアチェンジを図った。副業としてアルバイトしていた『お好み焼き いまり 恵比寿』を経て、退職後は学芸大学『ひとひら』にて5年間、きっちりと和食の調理技術を学ぶ。
その後、『ひとひら』と同じ建物にある人気焼き鳥店『鳥せん』が2号店『警視鳥』を立ち上げる際に料理長として抜擢され、約1年半、繁盛店を回すノウハウを吸収した。さらに、独立を視野に入れ目黒の有名もつ焼き店『仲垣』でも、3か月間経験を積んだ。
そうした中で、焼き鳥やもつ焼きなどの専門店はオペレーションが重く、独立開業のハードルの高さを感じた夏山氏は、和食の技術や酒の知識を活かし、総合力で勝負する居酒屋業態での独立を目指すことに。学芸大学の居酒屋『ニノマエ』を間借りし、『純喫酒ヲートサリンジャー』として2年営業するも物件都合で撤退を余儀なくされ、場所も新たに立ち上げたのが『喫酒さりんじゃ』だ。
手間をかけた仕込みと少しの遊び心で、王道の酒場料理を個性化
店の生命線は、夏山氏一人で毎日仕込みに5時間かけて作り上げる約50品の料理だ。
「自分で店をやるなら、料理はできるだけ既製品を使わず手づくりしたかった。メニュー構成でイメージしたのは、立石や野毛の大衆酒場。品数がたくさんある安心感や、選ぶ楽しさを大事にしたいと考えました」と夏山氏。『ひとひら』での経験を活かし、「刺身」と「おばんざい」をメニューの核に、中華や洋食の要素も取り入れた居酒屋メニューをそろえる。コンセプトは、「一見すると誰でも注文しやすくわかりやすいメニューでありながら、頼んでみるとひとクセあって印象に残る料理」だ。







