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学芸大学『喫酒さりんじゃ』に学ぶ「体験価値」の高め方。料理も内装も“ありそうでない”を追求

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黒ねりゴマでアレンジした「黒バンバンジー」(840円)、新ショウガの甘酢漬けをちくわに刺した「ちく(わ)しょう(が)」(540円)、粉山椒のスパイシーな香りが引き立つ「山椒ハイボール」(650円)

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注文率を高める、ネーミングのおもしろさ

たとえば「梅なんこつ」は、一般的にイメージする「梅水晶(サメのナンコツの梅肉和え)」ではなく、炊いて細切りにした鶏ナンコツを梅肉やとびっこ、カツオ節などで和えて提供する。「(冷)チンジャオロースー」は、低温調理した豚タンと千切りピーマンの和えもので、ネーミングの妙と調理負荷の軽減を両立させた品だ。他にも、自家製ネギ油で中華テイストに仕立てた魚介のユッケなど、定番料理に独自のアレンジを加えた品をそろえる一方で、「〆のポテトフライ」や「商店街のコロッケ」など、料理そのものはオーソドックスでありながらネーミングの工夫で注文を誘うメニューも少なくない。

「1人3品注文することを想定して、食材や調理法が被らないような品ぞろえを意識しています。自分が飽き性でもあるので、月に2回ほどメニューの約3分の1を入れ替え、季節感や目新しさも大事にしています」と夏山氏。同じ食材を複数のメニューに使い食材ロスを抑える工夫や、ジャンルレスのメニューバリエーションは、『警視鳥』で毎日欠かさず作っていたまかないに鍛えられたと説明する。

ワンオペ調理のため、カウンターはお客の顔が見えつつも近すぎない距離感で設計。さらに「手が離せないときに間を持たせるアイテム」として、壁掛けのテレビを設置している

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仕込みに重点を置きつつ、提供までの品質コントロールも徹底

また、メニュー価格はすべて税込みで3桁(1,000円未満)に統一し、手頃感を演出している点にも注目だ。売りの一つである「おばんざい」は、単品の定番メニューとしてラインアップしているが、1人800円程度で3~4品の「盛り合わせ」にできることをオーダー時に提案。人数に応じて品数と価格を柔軟に調整し、満足度を高めつつロス削減を実現している。

これらのフードメニューは、基本的に仕込みに重点を置き、オーダー後は火を入れるだけで提供できる状態にしておく。営業中は4口コンロを駆使し、蒸し器や炒め用のフライパン鍋のほか、揚げものの鍋を2つ用意。素材に応じて使い分けるなど品質管理を徹底しながら、食材原価率を27%に抑制している。

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/