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飲食店におけるインバウンド対策とは? 訪日外国人の一番の目的は和食だった

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円安などを背景に、急激に増加している外国人観光客。東京をはじめとした大都市、さらに日本各地の観光地に外国人が押しかけており、今や「インバウンド」という言葉は、百貨店や家電店、そして飲食店にとって大切なキーワードとなっています。当社シンクロ・フードではそんな昨今の状況を踏まえ、飲食店向けのセミナーを開催。外国人観光客をどのように迎え入れればよいか、2人の講師を招いて解説いただきました。今回はその模様を詳しくお伝えします。

1,900万人もの訪日外国人。その多くが“食”を楽しみに来日している

まずご登壇いただいたのは、合同会社FIKAの代表を務める福山大樹氏。福山氏はインバウンドビジネスのコンサルティングや支援事業を行っている人物。データを用いながら、訪日外国人の基本情報について語っていただきました。

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ご紹介いただいたデータによると2014年の訪日外国人の数は1,341万人。2015年は1,900万人を超すと見込まれています。その理由としては、以下の点が挙げられるのだそう。

・中国・ASEAN諸国での中間所得層の激増
・中国・ASEAN諸国からの旅行者へのビザの緩和
・円安の為替効果

また、当社が運営する『飲食店.COM』の会員に向けて実施した調査によると、外国人客が毎日来店する飲食店は全体の27.8%。週に1度は外国人客が訪れるという飲食店が28.9%。半数以上の飲食店が、頻繁に外国人客を受け入れていることがわかります。

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「中国では、年収180万円以上を得ている、いわゆる“アッパーミドル”が急増している。もちろん富裕層の来日も多いが、このアッパーミドルの存在が、訪日中国人の数を底上げしています。ちなみに世界で一番外国人観光客を受けていれているのはフランス。年間8,000万人もの観光客を受け入れています。この数字を見ると、日本でもまだまだ外国人観光客が増えることが予想できます」(福山氏)

続いて、外国人観光客が旅行において何を求めているのか? 観光庁がまとめた資料を用いながらご説明いただきました。

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訪日の目的の中で、断トツの1位は「日本食を食べる」こと。日本食は、無形文化遺産に登録されたことからも、世界からの注目度の高さがうかがえます。飲食店はこうした実情を踏まえ、外国人観光客の対策を早急に行っていく必要がありそうです。

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「飲食店で外国人観光客を呼び込むうえで大切なのは、外国人をひとくくりにしないこと。どの国の人、どのような層を呼び込むか明確にして、それに合うように対策を行っていくことが重要。まずは、日本で暮らす外国人にファンになってもらうことから始めるのも、インバウンド対策の大きな一歩になります」(福山氏)

日本特有のサービスは通用しない。フレキシブルな対応が必要

福山氏の講座が終わると、続いては株式会社アクセス・オール・エリアの代表を務める浜田岳文氏が登壇。外国人観光客をどのように呼び込めばいいか、実例を示しながら具体的な対策方法をご紹介いただきました。

浜田岳文氏は外資系投資銀行・投資ファンドに勤めていた経験を持ち、米国の外食チェーンをはじめとした投資先企業の経営モニタリングや新規投資事業に従事してきました。世界110カ国を食べ歩いてきた食通で、海外の星つきレストランの日本出店をサポートすることもあるそうです。まずは、外国人観光客の食にまつわる傾向を教えていただいたのでご紹介します。

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■飲食店における外国人の共通点
・メリハリのある味を好む傾向がある
・日本酒などの日本を連想する食材・飲み物を好む
・サービスへの要求が明快
・消費意欲が高い(特に中国人を中心としたアジア人富裕層)
・アルコール消費量が多く、店舗への滞在時間が長い

■外国人には食べられないもの、食べたくないものがある
・宗教上の理由で食べられない(イスラム教徒など)
・アレルギーを持っている(特にアメリカ人に多い)
・思想信条上、または健康上の理由で食べられない
※ベジタリアン:肉類
※ビーガン:卵、乳、蜂蜜、動物性の出汁
※グルテンフリー:穀物の胚芽から分泌されるたんぱく質
※ラクトースフリー:乳糖

■アジア人の特徴
香港、台湾、その他東南アジア諸国の富裕層は生活様式が西洋化しており英語を話せる人も多い。また、和食に対しての慣れがあります。一方で中国人は、もともと長時間の食事を楽しむ慣習がなく、コース料理を提供する飲食店では注意が必要と言えそうです。

■西洋人の特徴
日本では大丈夫でも、西洋人にとっては問題視される食材があります。たとえば馬を大切にする文化があるイギリス人は馬肉がダメ。また鯨も、北欧人を除くすべての外国人で問題視される食材です。こうした食材の問題に加え“好み”の問題もあり、クチコやこのわたといった内臓系の食材は、苦手とする外国人が多いので注意が必要。さらに魚介料理は歯ごたえがあるものを好む、ジュンサイのようなヌルヌルとした食材を嫌うといった傾向もあります。

「日本の飲食店のサービスは素晴らしいものですが、外国人にとってベストなサービスであるとは限りません。日本の飲食店は失敗しないための接客マニュアルを基本としており、これは海外とは大きく異なる部分です。海外では、『通常やらないサービスをやってくれた』ということが、『良いサービスを受けた』と認識される傾向にあります。お客様の好みに応じてフレキシブルに対応し、いかに喜ばせていくかが接客の鍵になります」(浜田氏)

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外国人観光客を集客するための具体的な施策とは?

続いて、外国人観光客を受け入れるために何を準備すればいいか、具体的な対策を教えていただいた。

■外国人観光客を受け入れるために準備すべきこと
・外国語が併記されたメニュー
・料理写真が掲載されたメニュー
・クレジットカード対応
※「Square」、「楽天スマートペイ」、「Coiney」、「PayPal Here」、「銀聯(ぎんれん)カード」など
・無料Wi-Fi

■集客アイデア
・店舗のウェブサイト制作(翻訳するのはもちろん、外国人が興味を引くようなコンテンツを作る)
・メディアへの掲載
※『Time Out』、『THE Japan Times』といった外国人が読む雑誌への掲載を目指す
・ソーシャルメディアの活用
※「Facebook」、「Twitter」、「Instagram」
・口コミサイトの利用
※「TripAdvisor」、「Yelp」、「大衆点評」など
・ホテルやホステルのコンシェルジュに働きかける
・ツアーを主催する旅行代理店に働きかける

「観光庁の調査によると、外国人は店舗のホームページをよく閲覧したうえで店選びをしているそうです。外国人観光客を呼び込むなら、ホームページの対応は必須と言えますね。また『Time Out』などの外国人向けの媒体は、一度掲載されると、次の号、また次の号といった形で、長期間掲載されるケースがあります。こうした媒体への露出も大切なのでぜひ検討してみてください」(浜田氏)

ちなみに、当社が実施した調査では、48.9%の飲食店がメニューの外国語対応を行っており、26.7%の飲食店が、外国語を話せる従業員を雇用しているようです。また、集客面では、「特に対策を行っていない」と回答していた飲食店が68.9%にものぼり、まだまだ外国人観光客の呼び込みに積極的でないことがわかります。

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最後に、一流店がどのように外国人対応を行っているのか、実例をいくつかあげていただいたのでご紹介します。

■『THE ARAKI』
ロンドンの寿司店。もともとは銀座で営業しており、過去にはミシュランガイドで三ツ星を獲得していたお店。それにもかかわらず、イギリス人の舌に合うよう、トリュフやキャビアを用いたわかりやすいプレゼンテーションで勝負。外国人に和食を提供する難しさやを実感しながら、柔軟に対応する見本を示しています。

■『傳』
神保町のミシュラン一ツ星店。外国人観光客を喜ばせるために、大手コーヒーチェーンを模したマグカップや、有名フライドチキンチェーンを模したチキンを用意。エンターテイメント性を示すことで、外国人観光客の呼び込みに成功しています。

ほかにもいくつか実例を交えながら浜田氏の講座も終了。最後に以下のようなポイントを教えていただいたのでご紹介します。

■外国人観光客を呼び込むためのポイント
・どういう客に来て欲しいのかを明確にする
・臨機応変・フレキシブルな対応ができるように
・積極的なサービス
・分かりやすさ
・エンターテイメント性
・日本らしさをアピールする

浜田氏も福山氏と同じく「どのようなお客様に来店していただきたいのか、まずはそこを明確にする必要がある」と意見を述べていました。そのうえで、メニュー表やホームページの対応、またサービス内容を検討していく必要がありそうです。

シンクロ・フードはこれからもインバウンド対策についての情報発信を行っていきます。外国人観光客をお店に呼び込もうと検討している飲食店は、ぜひご覧になってください。

<関連記事>訪日外国人を集客するためのWebサービス4選。インバウンド対策は「手軽に!」が合言葉

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