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飲食店の新しい資金調達方法。スマホやPCから手軽に融資が受けられる「オンラインレンディング」とは?

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Photo by iStock.com/Wavebreakmedia

飲食店経営者の頭を悩ます“資金調達”問題。資金調達には金融機関からの借り入れやビジネスローンなど様々な方法があるが、複雑な手続きが必要だったり、融資完了までに時間がかかるケースも少なくない。そこでここでは、一般的な資金調達方法のメリット・デメリットを踏まえつつ、最近話題になっている「オンラインレンディング」という新たな融資サービスについて紹介する。

急な資金調達に有用な融資サービスは?

現金商売である飲食店は、売上金を手元に置くことができるうえ、食材などの仕入れ代金が後払い可能ということで手元にお金が残りやすい。そのため、資金繰りには有利な業種だと言える。

しかし、厨房機器の故障などにより急な出費を被ったり、人材確保のため求人広告費に計画以上の費用を費やしてしまったりと、急にまとまったお金が必要になることも少なくない。では、そうしたときに飲食店が利用できる融資サービスとはどのようなものがあるのだろう?

■銀行などの金融機関
銀行などから融資を受ける場合、他の融資サービスと比較して金利が低いというメリットがある。しかし、必要書類を作成してから融資が完了するまでに2~3ヶ月の期間が必要になるケースもあり、また「短期資金」を集めにくいという点も難点だ。

■ビジネスローン
銀行の融資に比べると早い手続きで資金を得ることができる。しかし金利が高めに設定され、手続きも少々面倒。

■ファクタリング
売掛債権の買い取りによって行われるファクタリングは、売掛金をすぐに現金化できるメリットがある。しかし一方で、売掛金が無ければ利用できないうえ、融資額の2~3割の手数料を取られてしまう。

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次世代の融資サービス「オンラインレンディング」

飲食店の資金調達方法というと上記3つが取り上げられることが多かったが、複数のデメリットがあるということも相まって、“資金調達=大変なモノ”という認識を持っている飲食店経営者も少なくない。そんな既存の資金調達方法とは一線を画した新たな方法として注目を集めているのが「オンラインレンディング」だ。

オンラインレンディングは少額から資金調達が可能な融資サービスで、飲食店が利用しているクラウド会計、POSレジなどからオンラインデータを取り込み、それをもとに審査を行うという特徴がある。そのため、融資開始までの時間が短期間で済むほか、書類作成などの手間を省くことも可能だ。

すでに米国では流行しつつあり、50億ドルもの融資実績がある「OnDeck」や、SNSをもとに審査をおこなう「Kabbage」などのサービスが有名。「OnDeck」は「JPモルガン・チェース銀行」と、「Kabbage」は「サンタンデール銀行」とそれぞれ提携している。米国のオンラインレンディングは、サービスを提供するベンチャー企業と大手銀行が手を取り合う流れがあるようだ。

日本では、クレジットエンジンの「LENDY」がサービスを開始

クレジットエンジン社が提供する「LENDY」

日本でオンラインレンディングを普及させるためには、スモールビジネス向けのオンラインサービスの広がりが課題であったが、近年、クラウド会計やPOSレジなどが普及し、連携可能な体制が整いつつある。

そんななか、日本でサービスを開始したのがクレジットエンジン社が提供する「LENDY」だ。スマホやパソコンを使って簡単に申し込みができ、書類作成も不要という手軽さで早くも話題となっている。

飲食店側は店の情報を入力するだけで借入可能額が提示され、さらにクラウド会計などのオンラインサービスと連携すれば、そのデータ次第で借入可能額が拡大する。連携しているサービスはネットバンキング(住信SBIネット銀行、楽天銀行)、POSレジ(スマレジ、ユビレジ)、予約サービス、クラウド会計(freee・弥生会計オンライン)、ECサイト(Amazon)などで、今後も提携サービスを拡大していくそうだ。

「freee」や「Airレジ」などのサービスと連携することが可能

クレジットエンジンの代表取締役・内山誓一郎氏は『Foodist Media』の取材に対して「資金繰りに時間をかけて悩むのはもったいない。我々のようなサービスを利用していただくことで、飲食店としての本業にもっと時間を掛けられるようになってほしい」と語る。サービスを開始して間もないが、「現金仕入れ」「閑散期の資金繰り」「厨房機器の修理」「設備投資」「運転資金」などを理由に借入を行う飲食店が続々と増えているようだ。

現在はベータ版としてサービスを運営しており融資額は最大100万円。正式版では1000万円まで融資額を拡大する予定だ。正式版となれば、既存店の資金繰りだけでなく、新規出店の際の借り入れ先としての活用も期待できる。今後はアプリ版のリリースも控えており、ますます目が離せないサービスとなりそうだ。

オンラインレンディング、今後の展開は?

オンラインレンディングは、「LENDY」以外にもリクルートやfreeeといった飲食店向けサービスを展開する企業、またオリックスなどが参入を予定している。今後ますます期待が高まる融資サービスになってくるといえるだろう。

書類作成の手間がいらず、担保不要、そしてオンラインサービスとの連携により借入可能額の拡大も望めるオンラインレンディング。その手軽さは、飲食店経営といったスモールビジネスにまさに最適だといえる。今後どのように発展していくか、注目すべきサービスではないだろうか。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。