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ワインを“売り”に集客し、利益を上げるには? ヒット本『図解ワイン一年生』の小久保 尊さんに聞く

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『ワインと肉COQ DINER』のオーナーで日本ソムリエ協会認定ソムリエの小久保 尊さん

2010年代に入り、ビストロ・バル業態の飲食店が増えたことで、ぐんと親しみやすくなった「ワイン」。それまで敷居が高いイメージのあったワインだが、今や若い世代が気軽に楽しめる定番ドリンクの一つとなっている。あらゆる飲食店でワインが提供されるようになった今、他店と差別化を図り、利益を上げていくにはどのような手法が効果的なのか? ベストセラー『図解ワイン一年生』の著者であり、船橋にある繁盛店『ワインと肉COQ DINER(コックダイナー)』のオーナー・小久保 尊さんに、ワインを使った効果的な集客術について伺った。

「ワイン+α」でしっかり利益につなげる

今やビストロ・バルには欠かせないワインだが、じつはデメリットも少なくない。ハイボールや酎ハイなどの定番ドリンクに比べて原価率が高いほか、一度栓を開けてしまうと短時間で劣化が進んでしまうため、保存の面でも気を遣う。しかし、それでも「ワインを扱うメリットは大いにある」と小久保さんは語る。

「ワインは他のアルコールと比べて、料理のセット売りがしやすいんです。ウチの店はワインをきっかけにお客様とのコミュニケーションを図ることが多くて、その際に『このワインだったら、あの料理が合いますよ』と提案することも少なくありません。たとえば肉料理などは原価率が高くてあまり利益が取れませんが、ワインに合う低コストのタパス類も積極的におすすめしていくことで原価率の調整を行うこともできます」

同店では、ワインと看板メニューの肉料理以外にも、「スモーク枝豆」380円や「タコとセロリのマリネ」500円などタパス料理を380円から用意。客が飲みたいワインに合わせて、マリアージュが楽しめる料理を進んで提案している。

『ワインと肉COQ DINER』では、コスパの高いこだわりの肉料理が楽しめる

グラスワインを揃えるうえで大切なこと

訪れる客にとって、いろんな種類のワインを「グラスワイン」として楽しめるのも、こうしたワインバルの醍醐味の一つだ。「ワインを“売り”にするなら、最低でも赤と白を各2種類、泡1種類のグラスメニューを用意しておきたいですね」と小久保さんは語る。

『ワインと肉COQ DINER』で用意するグラスメニューは、赤・白それぞれ3種類に、ロゼ、ロゼの泡の計8種類。それを600~700円で提供している。産地やブドウの種類、そして味に変化をつけながらセレクトをするのが鉄則だ。

「グラスワインは1本800~1500円程度のものを6杯取りしているので、1杯当たりの原価は130~250円ほど。ドリンクメニューとしては少々高めの原価率だと思います。加えて、たくさんの種類を少しずつ飲みたい方のために『テイスティングセット』をご用意しているのですが、こちらは880円で、1杯ずつの量もかなり少なめ。だから、原価率も抑えられています。こうして全体的に見たときにしっかりと利益を取れるように、メリハリをつけたメニュー構成にすることが大切です」

原価率を抑えた「テイスティングセット」はお客からも好評で、同店のヒットメニューとなっている。このように「客も店も幸せになるようなメニュー」で、集客・売上向上を図るのが、ワインバルの大きな戦略となりそうだ。

自著を開きながらワインの説明をしてくれる小久保さん

会話から好みを探り、付加価値を付ける

一方、ボトルは「利益率」ではなく「利益額」で価格を設定。例えば原価1,000円のワインは3,000円、かわりに原価1万円のワインは1万2,000円で販売。利益額は同じ2,000円だが、お客にとっては高いワインを頼むほどお得になる仕組みになっている。

ただ、安いボトルでもソムリエである小久保さんの目利きにより選ばれたワインは、客の満足度も高い。春と秋、それぞれ3回も試飲会に足を運び、店で扱うワインはすべて自分の舌で味を確かめる。確かな自信をもっておすすめするワインは、多くの客を虜にしているようだ。

ちなみに同店では、ボトルメニューを見ている客には積極的に声をかけ、どんなものが飲みたいのか、コミュニケーションを図りながら客の好みを探っていく。その中で、試飲会で得た情報や、試飲した際の感想を伝えてワインに付加価値を加える。この声かけが、オーダーに迷う客の背中を押す大きな力になっているという。

「お客様の中には好みの産地や品種を教えてくれる方もいますが、大体はざっくりした希望が多いです。『白のすっきりしたやつ』は、まだ細かいほう(笑)。リクエストとして多いのは『飲みやすくて、美味しいもの』といった曖昧なオーダー。でもワインの『飲みやすくて、美味しいもの』は人によって全然違う。だから、どんなものが飲みやすいのか、会話の中で掘り下げていくんです。すると、メニュー表では伝えきれない情報を、細やかにお客様に伝えることができるので、結果的にお客様だけで考えてオーダーするボトルよりも、ワンランク上のものが売れることが多いですね」

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戸田千文

About 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。