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約6割の飲食店が「産直食材」を活用。身近になった産地直送、メリットは集客力の向上?

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Photo by iStock.com/MOKUDEN_photos

産地直送の食材を使う飲食店が増えている。郷土料理や地方の特産品を売りにしている飲食店だけでなく、幅広いジャンルの店舗で産直食材が活用されるようになってきた。飲食店経営者たちは、どのようなことを期待して産直食材を仕入れているのだろうか。今回の「飲食店リサーチ」では、産直食材の仕入れに関する調査を実施。取り入れるメリットや実際の仕入れ方法など、リアルな意見を聞いた。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:264名
調査期間: 2018年4月19日~2018年4月25日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち70.1%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は57.2%(首都圏の飲食店の割合は71.2%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

過半数の飲食店が産直食材を仕入れ

そもそもどれくらいの飲食店が産直食材を活用しているのか。産直食材を仕入れているかどうかという質問には、「はい」(61.7%)、「いいえ」(38.3%)と回答があり、6割以上の飲食店で仕入れられていることがわかった。

約6割の飲食店が産直食材を仕入れている

さらに産直食材を仕入れていると回答した飲食店に対し、仕入れている食材を聞くと(複数回答)、「野菜・果物・農産物」(65.0%)、「魚・水産物」(52.1%)、「肉・卵・畜産物」(48.5%)、「米・穀物」(22.7%)、「乳製品」(6.7%)という回答が得られた。

最も多かったのは「野菜・果物・農産物」で65.0%

新鮮さが重要視されやすい野菜、フルーツは産直が好まれる傾向にあるようだ。前菜やデザートだけでなく、フルーツはドリンクにも利用される。たとえば『素揚げや』では、産直の瀬戸田レモンを使ったレモンサワーが爆発的な人気を誇っている。産直食材を店の“売り”につなげた好例といえるだろう。

新鮮、安全、ブランディング。産直食材を扱うメリット

産直食材を仕入れている飲食店に対して、そのメリットを聞いたところ、「新鮮さ」に対してメリットを感じている飲食店は92.6%、次いで「安全性の高さ」が82.8%、以下、「店のブランディング」(84.1%)、「集客力の向上」(66.3%)「価格の安さ」(59.5%)と続く。

やはり「新鮮さ」に魅力を感じている飲食店が多いようだ

新鮮さや安全性を期待する声が中心だが、産直食材をメインメニューとして活用し、店のブランディングを目的としている飲食店も多い。たとえば近年では、2018年3月にオープンした『日比谷産直飲食街』がビル一軒をまるごと産直酒場としており、注目を集めている。

お客様とのコミュニケーションや食の知識を深めることなど、意外な活用法も

新鮮、安全、ブランディングといったメリットは比較的わかりやすいが、自由回答においては、それ以外にも以下のような意見があった。

「生産者の方から直接話が聞けるため、食材についての知識が深まる。また、信頼関係を築くことで希少価値の高い商材を分けていただけることもあるので、他店との差別化ができることも。さらに、鮮度の高い食材を直接購入することで仕入れ価格を抑えることもできる」(東京都/フランス料理)

「魚や貝など、市場に出回っていない食材が新鮮なまま届くので、すごく美味しい」(東京都/イタリア料理)

「産直食材のおかげでお客様との間に会話が生まれたり、お客様の喜ばれる姿が見られたりすることがある」(大阪府/居酒屋・ダイニングバー)

産直食材はその土地でしか手に入らない珍しいものもあり、食材の知識を深めることや、お客様とのコミュニケーションを円滑にすることにもつながっているようだ。新鮮、安全という食材そのものの魅力に加え、幅広いメリットを感じているという結果となった。

Photo by iStock.com/jovatzar

産直食材はどう仕入れる? 知り合いからの紹介、直接契約の声が多数

産直食材の仕入れにメリットを感じる飲食店が多い一方で、仕入れ先の開拓や安定供給などの点を不安に感じ、仕入れに前向きでない飲食店もある。では取り入れている飲食店は、どのようにして仕入れを行っているのか。

産直食材を仕入れていると回答した飲食店に対し、仕入れ先を知ったきっかけについて質問したところ(複数回答可)、「知り合いからの紹介」(62.0%)、「現地に足を運んで」(34.4%)、「インターネット」(27.6%)、「商談会・イベント」(14.7%)、「その他」(13.5%)という結果になった。

仕入れ先は「知り合いからの紹介」が最も多く62.0%

さらに発注方法について聞いたところ(複数回答可)、「直接契約」(77.3%)が最も多く、続いて「卸会社に発注」(24.5%)、「ECサイトから発注」(15.3%)という結果となった。

77.3%の飲食店が直接契約を結んでいるようだ

最近は生産者と飲食店をつなぐプラットフォームや、産直食材を販売するECサイトが登場し、より手軽に産直食材を仕入れられるようになってきた。店の魅力をつくる一つの手段として、産直食材の活用を検討する飲食店は今後も増えていくだろう。

■「飲食店リサーチ」について
「飲食店リサーチ」では、飲食店を経営する皆さまに、店舗運営に関する様々なアンケートを行っています。 アンケート結果は、飲食店の皆さまに店舗経営のヒントとして活用していただけるよう、レポート記事として公開されたり、 皆さまが利用する業務用商品やサービスなどの開発に役立つデータとなります。

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。