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下町の繁盛店『オオイリヤ』は今日も大入り。早くも2店舗目を実現させた當山夫婦の手腕

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煮込み料理は『オオイリヤ』の柱となっている

當山夫妻出会いは2008年、開店に備え夫人は飲食店で修行

當山夫妻が出会ったのが2008年。鯉一氏が勤務する中目黒のカフェに客として訪れたのが、当時OLの由美子夫人だった。「天真爛漫で素敵な人。明るくていい」と一目惚れした鯉一氏が猛烈なアプローチをかけ、3か月後には交際に発展。当初、由美子夫人は背中付近までのロン毛で、毎日クラブ通いの鯉一氏を信用できなかったが「押しに負けて」(由美子夫人)交際を承諾したという。将来は飲食店を経営したいという夢を持っていた鯉一氏に触発され、OLを辞めた後、将来のために飲食店で働くようになる。どのような店舗になってもある程度対応できるようにカフェ、和食、フレンチと1年ずつ職場を変えた。

2011年8月に結婚。2015年10月に『オオイリヤ』を夫婦で開店するに至った。夫婦で経営することのメリットは、まず従業員を1人雇う必要がないため、経済的な貢献が大きいことはどこの夫婦でも同じであろう。それ以外にも、目に見えない部分でプラスになっているという。鯉一氏は「経営上、意思疎通が図りやすいというのはありますし、夫婦でやっているという部分に惹かれて、来てくださる方もいます。夫婦げんかしたら、笑いのネタにすることもあります。ただ、本当にけんかするとスタッフの雰囲気も悪くなりますが、うちの場合は結構仲がいいので、長引きません」と、さり気なく(?)夫婦仲の良さをアピールする。

夫婦仲の良さも教えてくれた

夫婦経営のデメリット「人の定着が難しい」2対1の原理

その一方でデメリットもある。「人の定着が難しいことです。2人で店を始めて1人を雇うと、当然2対1になります。従業員は夫婦に挟まれる形になって、仕事で相談したくても相談する相手がいないわけです」。このような理由から初期は人が辞めていくことが多かったという。そうした苦労を乗り越えて現在は社員3人、アルバイト4人の合計7人を雇用。『オオイリヤ』を任せられるだけの人材を揃えた。

今後については「3店舗目は出したいです。その後はウチの会社にいる人に合わせて、出店すべきかどうか、あるいは独立支援をするために店を出すとか、業務委託とか、その時の人材によって将来像を考えていこうと思っています」と鯉一氏は、あくまでも人次第の部分を強調する。

夫婦の将来像「まずは子供」、50代で2人で経営する居酒屋の夢

夫婦の将来像については、由美子夫人が「まずは子供を産んで、でしょうか」と笑う。鯉一氏も「従業員を安定させて、嫁を家庭7割ぐらいの環境をつくってあげることですね」と言う。夫婦で経営するということは、両者の人生設計も組み込んで考えていかなければならないのである。このあたりが夫婦経営の難しさであり、同時に楽しさであるのかもしれない。

その上で、由美子夫人は「将来的には2人でやれる店をやりたいと思っています。子育てが落ち着いたら、自分たちのペースでできる酒場みたいな。50代ぐらいになればもっとシブい感じを出せると思うし、そういうことを夫婦で話しています」と人生の後半まで見据える。

結婚前、出店に備えて飲食店で働き夫とともに念願の自店舗をオープンさせ、2年半で2店舗目、そして近い将来、子供をと、夫婦で順調に人生の階段を上がっている。そんな夫婦と会うために客が訪れるというのも、チェーンの居酒屋にはない楽しみなのは間違いないだろう。まずは2店舗目の『酒呑倶楽部 アタル』を夫婦で成功させることが、さらなる未来につながっていくことになる。

2店舗目の『酒呑倶楽部 アタル』の前で

『暮ラシノ呑処 オオイリヤ』
住所/台東区下谷2-21-8 河野ビル1F
電話番号/050-5589-8274
営業時間/17:00~24:00
定休日/不定休
店名の由来/入谷の地にあることと、大入りをかけたもの

『酒呑倶楽部 アタル』
住所/足立区千住1-32-6 杉山ビル1階
電話番号/03-5284-8667
営業時間/17:00~24:00(月~金)、16:00~24:00(土)、16:00~23:00(日・祝)
定休日/不定休
店名の由来/當山氏の名字の「當」から、大いに当たる店になるようにと

當山鯉一(とうやま・りいち)
1984年1月、沖縄県那覇市出身。(株)トーヤーマン代表取締役社長。高校卒業後、アパレル関係を中心に働き、2011年に(株)フーズサプライサービスに入社し飲食業へ。同年に由美子夫人と結婚。2013年~2015年まで北千住の食堂で店長をこなし、2015年10月に『オオイリヤ』をオープンさせた。

當山由美子(とうやま・ゆみこ)
1984年4月、東京都足立区出身。高校卒業後、福祉関係の専門学校に進み児童福祉を学ぶ。卒業後にOLとなり、2008年に現在の夫と出会い2011年に結婚した。中学時代はバドミントンに力を入れ、足立区の大会で団体戦3位に入った。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/