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【台風10号】九州地方のくら寿司、ガストなどは計画閉店。飲食店が荒天時にやるべき3つの対策

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Photo by iStock.com/portishead1

ここ数年、日本国内に大きな被害をもたらす台風が相次いで接近、上陸している。8月30日現在も、「過去最強クラス」と警戒される台風10号が九州を暴風域に巻き込みながら北上中。今後も厳重な警戒が呼びかけられている。

大手飲食チェーン各社で計画閉店の動き(8月30日11時現在)

台風10号の影響を考慮し、九州地方を中心とした飲食チェーンの一部店舗では営業時間を短縮するほか、計画閉店などの対応を行っている。

■くら寿司
大分県、福岡県、山口県の計5店舗で営業休止。

■すかいらーく
全国に『ガスト』、『しゃぶ葉』、『バーミヤン』、『むさしの森珈琲』などを展開するすからーくホールディングスは、広島県、山口県、愛媛県、高知県の全店舗で計画閉店、また、岡山県の23店舗、香川県の20店舗、徳島県の12店舗は、30日14時に計画閉店を行うことを発表。

■丸亀製麺
福岡県内、熊本県内、大分県内などの店舗で営業時間の変更または臨時休業。

上記以外でも、台風の状況に応じて各チェーン店から営業状況の発表がなされている。詳細は各店舗の公式情報を確認してほしい。

台風の接近に備えた飲食店の対策

飲食店にとって客足が鈍る「雨」は大敵。ましてや台風となれば、売上のほかにも大きな心配ごとが出てくる。ここでは、台風などの荒天時に必要な対応を改めてまとめたのでご紹介したい。

「予約客」への対応

まず優先したいのは、宴会客など、事前に予約をしてくれていたお客への対応だ。もし、来店するのは危険な天候だと判断したら、いち早く(できれば当日午前中までに)予約客に連絡。相談の上、時間や人数、予約日の変更を行おう。通常は当日の予約変更やキャンセルができない店がほとんどだと思うが、このような場合は無料で対応をするのが望ましい。ビアガーデンなどの屋外席の場合は、店側の判断で予約取り消しにしてもいいだろう。

また、公式ホームページやSNSなどを運用している場合は、そこから情報発信をすることも大切だ。予約客以外にも、お店が通常通り営業するかどうかを知りたい方はたくさんいるはず。営業時間を短縮する場合や臨時休業する場合はもちろん、通常営業の場合も必ず更新はしておこう。早めの更新はお店の信頼にもつながる。スムーズな対応ができるよう、更新しなくてはならないSNSの投稿内容は、あらかじめ草案を作っておくといいだろう。

もし通常通り営業をする場合、悪天候の中、来店してくれたお客に対しては、割引や特典もいいが、接客業としての心遣いを忘れないようにしよう。わざわざ来店してくれたことへの感謝を伝えるのはもちろん、洋服が濡れていないか、傘の忘れ物はないかなど、普段とは違う状況だということを念頭に接客することが大切だ。

Photo by iStock.com/Tema_kud

「店の設備」への対応

お客への事前対応が一通り済んだら、店の設備の安全確認をしよう。店頭の看板は倒れていないか、メニュー表が風で飛ばされていないか等のチェック、強風でも通行客に迷惑にならないように設置し直すなどの工夫を。場合によっては、看板は屋内に入れるなど安全面に最大の配慮をしよう。

雨天時は、店頭や店内が滑りやすくなる。こまめにモップをかけるのはもちろん、足拭きマットも多めに準備しておきたい。来店客の転倒防止のためにも、しっかり注意を払っておこう。また、雨で来店客の洋服や髪が濡れていることもあり得る。貸し出し用のハンドタオルなど用意しておくのもいいだろう。

また、天井から雨漏りする可能性もゼロではない。普段からチェックしておくとともに、バケツを1~2個は常備しておこう。店の前の排水溝が詰まった場合、店内に雨水が流れ込む可能性もある。地形や立地などにもよるが、状況によっては土嚢などの準備も検討しておきたい。

Photo by iStock.com/Juergen Sack

「従業員」に対するケア

従業員の安全確保も忘れてはならない。営業を行う場合、まず検討すべきなのは、シフトやメンバーの変更だろう。公共交通機関を使うような自宅が遠い従業員には休んでもらい、代わりに店の近くに住んでいる従業員にシフトに入ってもらうなど、可能な限り安全面を考慮しよう。また、従業員が余裕を持って帰宅できるよう、閉店時間を通常より早めるといった柔軟な対応も必要だ。

そして万が一の場合に備えて、従業員の緊急連絡先一覧を必ず作っておこう。本人の名前や住所、電話番号はもちろん、実家の連絡先なども確認しておきたい。退勤後は無事帰宅したか、メール等で連絡をしてもらうなどの安全確認も忘れずに。オーナーや店長には、従業員の安全を守る責任があるということを肝に銘じておこう。

念入りかつこまめな情報収集を

台風が来そうな日には、天気予報のチェックはもちろん、当日の交通機関の運行状況にも目を光らせておこう。情報収集に必要なウェブサイトやアプリをいつでもチェックできるように、ブックマークをするなどして普段から備えておくことが大切だ。近隣の店舗とも情報交換をしておくといいだろう。

台風接近時でも、それほど深刻な状況ではない場合には、むしろ客足が伸びることもあるが、決して油断はしないこと。何か起こってから考えていたのでは行動が遅れてしまう。ぜひこれを機に緊急対応時のマニュアルやチェック事項などを再確認してほしい。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。