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コロナ禍で消費者に求められる飲食店とは? ホットペッパーグルメ外食総研が発表

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ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員・稲垣昌宏氏

新型コロナウイルスの影響により、外食産業の在り方は大きく変化した。多くの飲食店は苦境に立たされながらも、それぞれのやり方でコロナ禍を戦っている。そんな中、外食産業の研究・調査を行う「ホットペッパーグルメ外食総研」が、オンラインセミナー「コロナ禍での市場と消費者意識の変化、そして外食産業に求められる変革」を開催。今、外食産業には何が求められているのだろうか? セミナーで解説された内容をもとに、これからの飲食店の目指す先を紐解いていく。

2020年4月~7月、外食市場規模は大きく減退。中食は好調

「ホットペッパーグルメ外食総研」では、定例調査として毎月「外食市場調査」を実施。約1万人のモニターに回答してもらい、外食と中食の動向について調べている。今回のセミナーでは、定例調査の2020年4月~7月のデータ、さらにコロナ禍で行なわれた外食の実態調査を踏まえながら、上席研究員・稲垣昌宏氏より、新型コロナウイルスの影響で変化する外食市場と消費者の意識について解説してもらった。

2020年7月の定例調査によれば、首都圏・関西圏・東海圏における外食市場規模は1,966億円で前年比-43.5%。2020年4月からの平均は前年比-59.7%と6割近くのマイナスで、非常に厳しい状況が見てとれる。

新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴った外出自粛が外食市場に大きな影響をもたらした

業態別の市場規模では「食事主体業態」「飲酒主体業態」「軽食主体業態」のうち、最も厳しい数字となったのが「飲酒主体業態」。2020年4月~7月の前年比は-67.4%で、特に影響が大きいのは「居酒屋」の-67.6%だった。

「飲酒主体の業態で特に厳しい前年同比」について。外で飲む習慣が減っていることがわかる

一方で好調なのが、中食。2020年7月の中食市場規模は前年比で19%もアップ。2020年4月~7月の平均でも23.7%アップと、非常に活気づいている。

外食市場に比べ、中食はかなり好調。性年代別の中食回数も全体的にアップした

さらに、同機関で2020年4月に実施されたテイクアウトの実態調査でも、「外食店のテイクアウト」実施率は39.4%と、前年18.7%からほぼ倍増。「外食店の出前」実施率、「飲食スペースを持たない宅配専門店」も同様に増えていることがわかった。

コロナ禍でテイクアウトやデリバリーを利用する人は増加している

調査結果を見ると、新型コロナウイルスの影響で外食・中食市場が大きく変化したように感じる。しかし、稲垣氏は語る。

「コロナ禍で社会が変化し、それに対応して外食の傾向も変化しました。しかし、大きく変化しているわけでなく、実は従来からゆっくりと変わってきた流れが加速したというのが今回の結果だと思います。コロナ独自の衛生意識が高まったということはありますが、それ以外はデジタル化や働き方改革といった、これまで政府が進めようとしていた施策がコロナによってより早まった印象です」

消費者の外食動向も変化。店の衛生管理を気にする人が増加

次に2020年6月、8月に行なわれた「外食実態調査」をもとに、現在の最新の外食動向についての解説があった。

6月、8月ともに全国の20歳~59歳の男女約1000名が回答

注目すべきは、新型コロナウイルスによる影響で変化した客の衛生意識。「今後、外食のお店選びをする際に気にすることはありますか?」という質問に対して、回答の上位10項目のうち、7項目がスコアアップした。一番気になるポイントに挙げられたのが、「席の間隔が空いているか」。6月で54%、8月で64.7%と、ソーシャルディスタンスを気にする人が増えている。

消毒液の設置や従業員のマスク着用も上位に。そのほかも全体的にスコアアップしている

さらに、お店の感染対策としてどのようなことを確認するか、「実際にお店を見て確認」「店頭のステッカーやポスターを確認」「感染症対策情報をインターネットなどで事前に確認」の3つの項目に分けて質問。最も多かったのは「実際にお店の様子を見て確認」で「必ず確認する」と「できるだけ確認する」を合わせて65.8%だった。後述の2項目も「必ず確認する」「できるだけ確認する」を合わせるとそれぞれ4割以上となり、感染対策状況を気にしてお店を選んでいることがわかった。

お店の衛生状況を気にする人が増加。感染対策の事前周知が重要となりそうだ

これらの調査結果のまとめとして、稲垣氏は以下のようにコメントした。

「コロナ禍で外出自粛、衛生意識の高まり、密の回避、非接触、リモートワーク、宅配、テイクアウト、社会貢献的消費活動などがキーワードとなりました。外食内容自体も飲酒が減少し、当たり前品質としての衛生対策の強化、外食である必然性がどこにあるかが問われていると思います」

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。