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コロナ禍の飲食店を支援する「事業再構築補助金」。第6回公募の概要を徹底解説

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画像素材:PIXTA

第6回公募より新設された「回復・再生応援枠」、「グリーン成長枠」とは?

第6回公募では第5回までの「卒業枠」、「グローバルV字回復枠」が終了し、通常枠と第5回から継続される「最低賃金枠」、「大規模賃金引上枠」のほかに、「回復・再生応援枠」、「グリーン成長枠」が新たに設定された。

それぞれの概要を見てみよう。

■■通常枠■■
主要申請要件を満たしていれば申請できる通常枠。補助額は従業員数によって、補助率は企業の規模によってそれぞれ異なる。

第6回より補助上限額が見直された

<補助額>
従業員数20人以下:100万円~2,000万円
従業員数21〜50人:100〜4,000万円
従業員数51人〜100人:100〜6,000万円
従業員数101人以上:100〜8,000万円

<補助率>
中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)

■■最低賃金枠■■
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な、特に業況が厳しい中小企業等を対象とした枠。加点措置が行われるため、回復・再生応援枠よりも採択率において優遇される。通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①と②両方の要件に該当する企業が対象となる。

① 2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること、および

② 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること

従業員数、企業の規模ごとの補助額、補助率は以下の通り。

不採択となった場合は、通常枠で再審査が行われる

<補助額>
従業員数5人以下:100〜500万円
従業員数6~20人:100〜1,000万円
従業員数21人以上:100〜1,500万円

<補助率>
中小企業:3/4
中堅企業:2/3

■■大規模賃金引上枠■■
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象とした枠。通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①と②両方の要件に該当する企業が対象となる。

① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること、および

② 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること。

補助額、企業の規模ごとの補助率は以下の通り。

不採択となった場合は、通常枠で再審査が行われる

<補助額>
従業員数101人以上の中小企業・中堅企業 8,000万円超~1億円

<補助率>
中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)

■■回復・再生応援枠■■
新型コロナの影響により、通常枠よりも更に売上が減少している企業が対象となる新設枠。主要な設備の変更は求められないのが特徴だ。通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①または②のどちらかの要件に該当する企業が対象となる。

① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること、または

② 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け再生計画等を策定していること

従業員数、企業の規模ごとの補助額、補助率は以下の通り。

不採択となった場合は、通常枠で再審査が行われる

<補助額>
従業員数5人以下:100〜500万円
従業員数6~20人:100〜1,000万円
従業員数21人以上:100〜1,500万円

<補助率>
中小企業:3/4
中堅企業:2/3

なお、最低賃金枠、大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠で不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては、事業者側の手続きは不要。

■■グリーン成長枠■■
研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等を対象とした枠。補助上限金額は最大1.5億円と大きく、売上高10%減少の要件がないなど他の枠とは異なる点が多い。

企業の規模ごとの補助額、補助率は以下の通り。

グリーン成長枠で不採択、通常枠での再審査を希望する場合は、売上高等減少要件を満たすことを示す書類が必要

<補助額(カッコ内は補助率)>
中小企業者等:100万円~1億円(1/2)
中堅企業等:100万円~1.5億円(1/3)

通常、一度事業再構築補助金の採択を受けた事業者は再度の申請ができないが、グリーン成長枠に限り、過去支援を受けたことがある事業者も申請できるという特例が設けられている。

ただし、支援を受けられる回数は2回が上限。さらに、すでに事業再構築補助金で取り組んでいるものとは異なる事業再構築であることを証明する資料の提出が求められる。

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原油価格・物価高騰等の影響を受けている事業者に対する支援も拡充

また第6回より、新型コロナやウクライナ情勢の緊迫化等による原油や物価高騰等の影響を受けている事業者に対し、新たに支援の拡充が行われている。

第6回公募では、2022年1月以降のいずれかの月の売上高(または付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少している事業者に対し、加点措置を行い、優先的に採択する。

加えて、第7回公募では「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」が新設される。通常枠の申請要件を満たし、以下の要件に該当する企業が対象となる予定だが、詳細な制度設計は検討中だ。

①足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により、2022年1月以降の売上高(又は付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少していること

②事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること 等

申請は電子申請システムでのみ可能。ID取得はお早めに!

第6回公募の申請受付は令和4年5月下旬~6月上旬に開始予定。応募締め切りは6月30日(木)18時までとなっている。

申請はjGrants(電子申請システム)によって行う。電子申請にあたっては、GビズIDプライムアカウントの取得が必要となるが、アカウントが発行されるまで、申請後3週間以上かかるため、IDは早めに取得しておこう。GビズIDプライムアカウントは、専用サイトで必要事項を記載した後、必要書類を郵送して作成する。なお、締切までに取得が間に合わない場合は「暫定ID」での申請も可能とのこと。
※詳細は事業再構築補助金の事務局ホームページもしくは公募要領(第6回)を参照

事業再構築補助金は、コロナによる損失を減らすのではなく、企業の成長のための補助金という点で他とは性質が異なる。挑戦と高い成長が求められているため、ハードルを感じる方も多いだろう。しかし、それだけに補償の内容は手厚いため、具体的なプランと熱い思いがある事業者は、ぜひ検討してみてほしい。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」