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『ナベノ-イズム』渡辺雄一郎さんが語る、コロナ禍を生き抜く「考え方」

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『ナベノ-イズム』の渡辺雄一郎さん

7月16日、東京都内では4回目となる緊急事態宣言が発令された。都内の飲食店は、8月に入るまでに通常営業できた日数は28日間(全体の13%)しかなく、渡辺雄一郎さん率いる東京・浅草駒形のフレンチレストラン『ナベノ-イズム』も、ほかの飲食店と同様、時短営業や酒類提供自粛など、東京都の要請に従って営業を続けてきた。

開業5年、現在9名の正社員を抱え、2つ星を維持している。『ナベノ-イズム』のような、ファインダイニングと呼ばれる飲食店が現在どうやって営業を続けているのか、また、コロナ禍を通じて自身の考え方がどのように変わってきたかを渡辺さんに聞いた。

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「店を閉めていたのは、最初の緊急事態宣言が出た2020年4月の2週間だけです。緊急事態宣言の開始日は4月7日からで、その2日前の4月5日から2週間、店を閉めました。2週間はスタッフ全員、自宅待機で様子見。その間に私は、これからどうやっていくかをずっと考えていました」

1回目の緊急事態宣言が出た昨年4月。都内の飲食店には休業要請こそ出なかったものの、補償もなく、外食をやめようという空気だけが広がっていた。都の持続化給付金や協力金制度はこの時点ではまだ決定しておらず、どの飲食店も補償がないのに店が開けられないという未曽有の状況のなか、売上と関係なくかかる店の維持費を前に、どのように対応すべきか悩んでいた時期だった。『ナベノ-イズム』は2週間完全に休業したのち、一部、店を開ける決断をした。

「2週間の休業が終わって、4月末から5月は料理長の岡部(浩児さん)とパティシエの宮脇(侑司さん)と僕と3人だけまず出勤しました。テイクアウトで販売する商品を作るためですが、とにかく何かしら動きたいという気持ちもありました。3人で、店の厨房でテイクアウト用の商品を作りためていきました」

『ナベノ-イズム』ダイニング。隅田川沿いで、東京スカイツリーが見渡せる(写真提供:渡辺さん)

店を思い出してもらうツールとしての通販

『ナベノ-イズム』では、その後始まった雇用調整助成金や持続化給付金を申請しつつ、レストラン営業で売上を維持することに力を注いだ。お弁当やランチボックスのようなテイクアウトはやらなかった。販売したのは、店の厨房で時折作る切り売りのテリーヌ、自家製カレーをシリーズ化(今までに9作販売)した商品、さらに外部に委託して製造するカレーやハンバーグだ。

「オンラインのショッピングサイトをすぐに開設しました。同時に食肉製品製造業許可を取得。食肉の加工商品やミールキットを販売するための免許です。菓子製造業許可はすでに持っていました。それから最近ですが、食肉販売業許可も取得しました。これは、ソースやつけだれに漬けた半調理品の生肉を販売するためのものですね。

通販で販売しているのは、レトルトカレー(『ナベノ-ブラックカレー』)、冷凍ハンバーグ(『プロヴァンス風煮込みハンバーグ』)、ステーキソース(『ナベノソース』)。これらは、レシピを渡して外部で作ってもらっています。スポット的に、パテ・ド・カンパーニュ、シリーズ化している自家製カレー(『ナベノカレー』)などはここで作っています。

テイクアウトや通販の売上は、店舗全体の売上としてはあくまで補完的なものですが、ないよりはずっといい。通販は、売上そのものより『ナベノ-イズム』の存在を示すもの、ゲストに『やってますよ』と目に留めてもらうためのツールという側面が強いですね。僕たちにとってはやはり、店に来ていただくのが最終目標。最も大切なのは、ゲストにここで楽しんでもらうことなんです」

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About うずら

編集者兼ライター。出版社勤務のかたわらアジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。ブログ「モダスパ+plus」ではそのときの報告や「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などの解説記事を執筆。Instagram(@photo_cuisinier)では、シェフなど飲食に携わる人のポートレートを撮影している。