外食大手の4~6月期決算、「テイクアウト」で業績に明暗。コロナ禍に強い飲食店は?
外食大手各社が2021年4~6月期、中間決算を発表。新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食業界全体で厳しい状況が続いているが、なかには、コロナ禍ながら好調な企業もある。そこで今回は、外食大手の業績を紹介するとともに、飲食店の売上回復に繋がるヒントを探っていく。
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居酒屋、ファミレス業態は前年同期からは回復も、未だ厳しい状況
酒類の提供制限などにより、苦戦を強いられているのが居酒屋業態だ。焼肉レストラン『牛角』や居酒屋『甘太郎』などのコロワイドが発表した、2021年4~6月期の連結決算によると、利益は7億円で、前年同期の赤字から黒字に転換している。しかし、コロナ禍前の2019年の売上収益は590億円だったのに対し、今期は393億円にとどまっており、未だ厳しい状況に置かれていることがうかがえる。
店内飲食がメインとなるファミリーレストラン業態も、新型コロナウイルスの影響が続く。『ガスト』や『バーミヤン』などのファミリーレストランを展開するすかいらーくホールディングスの2021年4~6月の売上高は、前年比95億円増の618億円。上半期累計の売上高も前年比増の1,267億円だが、2019年は1,875億円となっており、コロナ前の水準に回復するには至っていない。
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コロナ禍で業績好調な外食企業も。テイクアウトへの取り組みが鍵に
一方で、『丸亀製麺』などで知られるトリドールホールディングスは、業績を急回復させている。2020年4~6月期は35億円の赤字だったが、2021年同期は47億円の黒字となっている。コロナ前の状態まで回復している理由の一つがテイクアウトの強化。4月に販売を始めた「丸亀うどん弁当」が900万食を突破するなど、テイクアウトが好調だ。
また、コロナ禍でもとくに好調なのが、ファーストフード業態だ。日本マクドナルドホールディングスの2021年1~6月期の営業利益は、過去最高となる172億円。店内飲食で苦戦しているものの、ドライブスルーやテイクアウト、デリバリーなどが好調で、コロナ禍でも売上を伸ばしている。
コロナ禍で業績が良い企業に共通するのが、テイクアウトが好調という点だ。新型コロナウイルスがまん延して以降、店内飲食のニーズが減る一方で、テイクアウトやデリバリーのニーズは上昇。こうした、コロナ禍における顧客のニーズを上手く取り込んだ企業は、業績を伸ばしている。
テイクアウトやデリバリーの強化は、外食大手だけでなく、中小の飲食店でも重要な課題となっている。現在、第5波の到来により、各地で陽性者数が急拡大しており、すぐには店内飲食の需要回復が見込めない状態だ。飲食店は引き続きテイクアウトやデリバリーを強化することが、売上回復に繋がるポイントとなりそうだ。