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主要外食企業の2月期決算発表。多くの企業で黒字化進むも、ハンバーガー市場は縮小

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外食主要各社の2022年2月期決算が出そろった。新型コロナの影響を強く受けていた外食業界だが、多くの企業が黒字化した。前期は創業以来の最大の赤字(87億4600万円の赤字)だった株式会社リンガーハットは、純損益9億4300万円の黒字となった。売上高は前期比0.4%減の339億2千万円だった。

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テイクアウトやデリバリーの強化に加え、時短協力金が大きな要因に

同社は全国で長崎ちゃんぽん専門店の『リンガーハット』、九州を中心にとんかつ専門店の『とんかつ浜かつ』などを手掛ける。テイクアウトやデリバリーサービスへの継続的な注力、新規出店は1店舗に抑え、17店舗を退店するなどの取り組みもあったが、時短協力金などの補助金収入を営業外収益に37億1500万円計上したことが黒字化の大きな要因だ。

客数はまん延防止等重点措置解除後、増えつつあるが、コロナ禍前の19年度比で70%程度。今年7月に予定されている創業60周年のプロモーションに期待がかかる。

コメダHDは注目の食材を使ったメニュー、積極的なメディア露出で増収増益

『コメダ珈琲コーヒー店』を展開するコメダホールディングスでは、売上高が前期比15.5%増の333億円1700万円で過去最高を記録した。最終利益は37.4%増の49億円と増収増益だった。

話題性のあるピスタチオや大豆ミートなどの食材を使った商品の提供と、積極的なメディアへの露出が集客につながった。また、ほとんとの店舗が朝7時から営業しており、もともと売上がディナー時間帯に依存していないため、時短営業の影響が他の外食企業に比べて小さいことも売上を押し上げたとみられる。

黒字化は進んだものの、その要因は各社で大きく異なることがわかる。補助金での資金繰りが長期化している企業は、本質的な課題に目を向けていく必要があるだろう。

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一方で、コロナ禍に好調を維持していたハンバーガー店は倒産が急増

テイクアウトやデリバリー需要を見越し、2020年後半あたりからハンバーガー店の出店が加速した。『焼肉ライク』を手がけるダイニングイノベーションによる『ブルースターバーガー』、鳥貴族グループの新業態『トリキバーガー』など大手外食チェーンの他、新興企業、異業種の参入も進んでいる。

店舗数が急増したことで競争は一気に激化。そこにコロナ支援策の縮小が重なった。東京商工リサーチが4月24日に発表した調査結果によれば、2021年度のハンバーガー店の倒産は6件(前年度1件)で、うち5件はコロナ関連倒産だった。急激な成長が見られたハンバーガー業態だったが、好調と不振の2極化が明らかになってきた。

6件のうち、5件がコロナ関連倒産

主要な産地である北米での不作やウクライナ情勢の緊迫化などを受け、6月には業務用の小麦粉の値上げが予定されている。今後はこうした原材料費の高騰も、経営に大きく影響してくるとみられる。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」