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外国人観光客の受け入れ再開。約8割の飲食店がインバウンド獲得に前向き

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画像素材:PIXTA

政府は6月10日から、約2年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開した。入国が認められるのは、当面の間、流入リスクが低い地域から添乗員付きのパッケージツアーに参加した人に限られる。徐々にインバウンド需要回復に向けて動き出しており、飲食店の客足回復にも期待が寄せられている。

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外国人観光客の受け入れ再開に伴い、観光庁がガイドラインを発表

新型コロナウイルスの水際対策をめぐっては、徐々に緩和が始まっている。6月1日には1日の入国者数の上限が2万人に引き上げられ、6月10日には外国人観光客の受け入れが再開された。今回、受け入れ対象となる外国人観光客は、国や地域ごとに分類された流入リスク区分のうち最もリスクが低い「青」区分からの入国者。現時点で、中国や韓国、アメリカなどの98の国や地域が対象となっている。また、入国が認められるのは、添乗員付きのパッケージツアーの参加者限定だ。

外国人観光客の受け入れ再開にあたっては、5月に訪日観光実証事業が行われていた。観光庁からは、この実証実験を踏まえた上で、観光関係者等が留意すべき点をまとめた「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」が発表されている。飲食店に関連のある内容もあるため、外国人観光客が訪れる飲食店は一度目を通したい。

例えば、旅行業者がツアーを企画する際は、「旅行業者は、宿泊施設、観光施設、飲食店等における感染防止対策を確認した上で、対策を徹底している施設等を活用すること」と記されている。感染対策の実施状況を認証制度の活用等で確認することも推奨されており、積極的に外国人観光客を受け入れたいと考えている飲食店は、感染対策の徹底に加え、認証制度の活用も検討しておきたいところだ。

また、各観光関係者がツアー中の感染防止対策で特に留意する場面として、「食事時」が挙げられており、対応例として「飲食店において基本的な感染防止対策が実施されていることを前提に、会話の際は大声を控える」とある。飲食店としては、こうした日本での感染対策を外国人にも理解してもらえるような受け入れ態勢を整えておきたい。さらに、濃厚接触者の範囲を最小限に抑制する対策として「飲食店における座席配置の固定化」が一例として挙げられている点も留意しておきたい。

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インバウンド顧客の受け入れに前向きな飲食店が多数

外国人観光客の受け入れ再開の流れに対し、飲食店はどのように考えているのだろうか。弊社が東京23区内に店舗のある飲食店におこなったインバウンド顧客の受け入れに対する意識調査では、2店舗以下運営の飲食店の80%、3店舗以上運営の飲食店の78%が「積極的に獲得したい」または「国内顧客と同様に考えている」と回答しており、多くの飲食店が外国人観光客の受け入れに前向きな姿勢を見せている。

3店舗以上運営する飲食店の方がインバウンド獲得に意欲的

さらに、インバウンド顧客の獲得に積極的な店舗に対し、今後検討したいインバウンド受け入れ対策を尋ねたところ「インバウンド顧客向けのSNS発信(60%)」が最多。次いで「インバウンド顧客向けの媒体掲載(58%)」、「インバウンド顧客向けの予約サービス(52%)」が続く。インバウンド顧客に対する情報発信に関する対策が上位を占めており、インバウンド顧客を積極的に獲得したいという意思がうかがえる結果となった。

一方で、インバウンド対応の定番であるWi-Fiの導入やキャッシュレス決済、多言語対応が伸びていないが、こうした対策は、インバウンド顧客の獲得に積極的な店舗では、既に導入済みの場合が多いことが理由だと考えられる。

多言語対応やキャッシュレス決済システム、Wi-Fiの導入の割合が低いのは、既に対応済みのためと思われる

約2年ぶりとなった、外国人観光客の受け入れ再開。当面は制限を伴う再開となっており、すぐにコロナ禍前のような状況になるというわけではないが、飲食店としては、今後の本格的な再開に向けて受け入れ体制を整えておきたい。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。