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「ホットペッパーグルメ外食総研2022」レポート。コロナ禍3年目、外食市場と消費者ニーズの変化

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DXで人+テクノロジーによる価値向上・生産性向上を実現

第二部は、「『飲食店の価値向上』と『外食産業モデルの進化』を実現するDXの本質とは」がテーマ。ホットペッパーグルメ外食総研・エヴァンジェリストの竹田クニ氏がモデレータを務め、株式会社夢笛/株式会社エッセンス代表取締役の高橋英樹氏、株式会社まんてん代表取締役の阿部亮氏の両パネラーとディスカッションを行った。

ディスカッションを行う竹田氏(左)、高橋氏(中央)、阿部氏(右)の様子

冒頭、竹田氏は供給コストが上がり、消費者のニーズ・ウォンツが変化していく中で、DXを活用してイノベーションを推進していく必要があると強調した。

「生産性を上げていくために、機械でできることは機械に任せながら、人でなければ生み出せない価値に集中する。こんな環境を作っていくことで生産性を向上させていくことが重要だと考えています」(竹田氏)

モバイルオーダー導入で客単価が500円~800円アップ

続いて、デジタルツールを導入して目覚ましい取り組みを見せている飲食店経営者として阿部氏と高橋氏が登場。まず阿部氏がDX導入の経緯と成果を語った。

「弊社は都内に『炭火焼ホルモン まんてん』5店舗を構えており、さらに今年3月に初のFC店舗として宇都宮店を出店しました。この6店舗でモバイルオーダーのシステムを取り入れています。当初は導入に抵抗があったのですが、人材不足の解消やコロナ禍なので人同士の接触を減らすことを考えるとちょうどいいタイミングかと考えました。導入後まず感じたのは、『人件費を下げることができた』ということです。これは数字にはっきりと表れていました」(阿部氏)

当初はスタッフ・お客側ともにモバイルオーダーの操作に手間取るなど、もたつく場面も多かったと安部氏は振り返る。しかし、「モバイルオーダーを使ってみたい」とお客側が興味を示すケースが増えたほか、店舗間でノウハウを共有することで全体のスキルが向上し、次第にスムーズに扱えることができるようになったそうだ。

『まんてん』では、モバイルオーダーによって注文業務が大幅に軽減されたため、お客へおすすめの商品をアピールするなど、サービスに専念できるようにもなったという。その結果、従来4,200円〜4,300円だった客単価が500円〜800円増え、5,000円を超えることも現在では珍しくない。客単価が増えたことは、これまで伝票のチェック漏れによって「売上」に反映できなかった部分もあったのではないかと阿部氏は分析している。このように、DXはヒューマンエラーの削減にもつながる。

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調査データの分析を本社に集約。職人がより力を活かせる環境に

『魚々家 むてき』『鶏と豚の焼肉 フジヤマドラゴン』『串BAR』など、広島と東京で飲食店を営む夢笛/エッセンスの高橋氏がデジタルツールの導入を決めたのはコロナ禍前のこと。社内で経営の分析をしっかりと行うことが大事だと考えていた高橋氏は、まず経営アシスタントツールのAirメイトに注目した。Airメイト導入に際し、高橋氏はある工夫をしたという。

「現場では調理の専門家である職人が多いので、デジタルツールを使って集計を取らせることは現実的に難しい。そのため、Airメイトを使った集計と分析は弊社本部で行い、分析した結果を職人に見てもらうという仕組みにしました。そのおかげで、職人たちはメニュー開発やお客への新サービス提供、イベントの企画立案といった得意な業務に専念できる環境になってきたかなと思っています」(高橋氏)

安部氏と高橋氏の事例を受けて、竹田氏はデジタルツールの導入が人+テクノロジーによる価値向上・生産性向上をもたらし、飲食店での働き方も変えていくだろうと予想した。

「Aさんは料理が得意で、Bさんは接客が上手。また、Cさんは商売のスキルが高い。このように多様な人々のそれぞれの働き方を受け入れ、すべての人が生き生きと輝くようなかたちになっていくことが飲食店の理想だと思います。そうした経営のあり方を、私は『新・サービス産業モデル』と呼んでいます」(竹田氏)

DXからサービス産業モデルの未来像が見えてきた

高橋氏は、「一般社団法人 日本飲食団体連合会(食団連)」の事務局長、さらに「一般社団法人日本飲食業経営審議会」の代表理事も務めている。その立場から、飲食業全体が抱える課題は、「未来のあるべき姿についての議論をしたり、行政へ働きかけることを怠ってきたこと」と指摘する。

「アルコール離れが進み、少子化のために働き手やお客まで減少していることは10年前から分かっていたことですが、コロナ禍によって表面化したわけです。こうした業界が抱える課題に取り組むため、食団連を作りました。日本飲食業経営審議会は現在7つの地域に設立していますが、今後は全国の都道府県に広めていきたいと思います。地域が違えば、抱える問題も異なります。全国知事会で支給が決まったはずの『新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金』ひとつとっても、県によって支給する・しないという違いがありました」(高橋氏)

こうした高橋氏の取り組みを受けて竹田氏は、「官民を挙げての知見共有とイノベーション支援が必要であり、そのために問題を共有する機会・場づくり、現実と乖離した諸法規の改正が必要」と総括した。

高橋氏が述べた通り、飲食業界が先送りにしてきた諸問題は、コロナ禍によって一気に表面化したといえよう。コロナ禍は変化をいやおうなしに加速させる劇薬に他ならないが、苦難の先には明るい未来が待っていると信じたい。

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