飲食店ドットコムのサービス

8坪月商920万円の『炭火串焼と旬野菜 きわみ』。目指したのは「絶対失敗しない店」

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

『炭火串焼と旬野菜 きわみ』と株式会社KIWAMI代表取締役の阿波耕平氏

JR東日本と東急電鉄の2社6路線が乗り入れる武蔵小杉。再開発が進み、人口も増加中のこのエリアで8坪月商920万円という驚異的な売上を誇る居酒屋がある。2021年7月、駅前の飲食店街「センターロード小杉」にオープンした『炭火串焼と旬野菜 きわみ』だ。

【注目記事】わずか10坪で月商650万円を誇る『食堂かど。』。異例の「三毛作営業」が功を奏す

一番の集客策は「良い場所に出店すること」

この店を手がけるのは、株式会社KIWAMI代表取締役の阿波耕平氏。武蔵小杉エリアで3店舗の出店に成功した敏腕経営者だが、過去には「料理人」や「企業の営業担当」を務めるなど、多彩な経歴を持つ。

「自身の店を持ちたい」と最初に目指したのは料理人だった。札幌の調理専門学校で中国料理を専攻、卒業後20歳で上京し、京王プラザホテル内の有名中華レストラン『南園』にアルバイトとして就職。しかし、修業中に圧倒的なスキルの差を目の当たりにし、料理人の道は一旦諦めることに。その後、自身のお店を出店する足掛かりになればと「ぐるなび」の営業職へ転職する。その際、南武線沿線・横浜中華街エリアの飲食店を担当していた阿波氏は、武蔵小杉エリアの目覚ましい成長を肌で体感することになる。

「ぐるなびには、加盟飲食店1万店分のさまざまな成功事例や失敗事例のエピソードが集まってきます。売上など数字に関するデータも多くありました。そんななか『武蔵小杉のとあるエリアは、絶対に黒字をキープしている』ということがわかって。もし自分のお店を出店するなら、そのエリアを狙いたいと思っていました」

飲食店においては何よりも立地が大事であり、一番の集客策は「良い場所に出店すること」だと話す、阿波氏。こうして2014年には、武蔵小杉エリア一店舗目となる『もつ屋じゅうに12』(2023年1月よりフランチャイズ化)を、2016年には『鮮度の極み 魚もつ 武蔵小杉』をオープンさせた。

元焼鳥店の居抜き店舗。全26席のうち手前の3卓が立ち飲み席だ。客層は20〜30代が8割を占める

「立ち飲み席はドリンク半額」。“賑わい”の創出で、店頭から客を吸い寄せる

そして2021年7月、『炭火串焼と旬野菜 きわみ』をオープン。駅近、雰囲気の良さに加え、坪単価5万円(8坪家賃40万円)というリーズナブルな賃料を聞いてすぐ契約したという。ちなみに2023年1月現在、武蔵小杉エリアの物件の賃料は高騰しており、一坪10万円ほどを推移しているそうだ。

開業のタイミングは、コロナ禍真っ只中、緊急事態宣言発令中で酒類の提供自粛が呼びかけられていた厳しい時期だった。そのため「ぐるなびのページを作ったり、Googleマイビジネスなどは使いましたが、そのほかにこれといった集客はしませんでした」と阿波氏は言う。

しかし、SNSなどでの発信、広告出稿といった集客は行っていないものの、実質的な集客効果を生み出している開業時からの施策がある。それが店頭にある立ち飲み席のドリンクを全品半額にし、“賑わい”を創出することだ。

「広告に費用をかけるよりもお客様に還元したいという思いから、ドリンクを全品半額にしました。これで立ち飲み席に3人入ってくれれば、お店にお客様がたくさん入っているように見えるので、さらに集客効果が上がるんです。こういった施策はぐるなび時代の経験を元に、良さそうなアイデアを自分なりにアレンジして取り入れています」

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。