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渋谷最古の回転寿司『すし台所家』がカムバック。「寿司居酒屋」として新時代に挑む

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新時代に合わせ“DX”も積極的に導入

春頃には新たにフリーWi-Fiとスマホオーダーも導入予定の『すし居酒屋台所家 渋谷本店』。

「コロナ禍で非接触が推奨されているということもありますが、元々外国人の方の来店も多かったため、外国語に対応したスマホオーダーを導入することで、そういった方々も障壁なく楽しめるお店にできればと考えています。スタッフの接客時間も短くでき効率化が図れるというのもあります」と玉山氏は明かす。とはいえスマホオーダーに統一するわけではなく、これまで通りのオーダーも受け付ける。それまでにメニューもブラッシュアップ予定だという。

渋谷道玄坂の交差点に位置する台所家は、昔も今も人々の交差点であり続ける

渋谷のランドマークとして「今後もこの場所を未来に繋いでいきたい」

今回の店舗について「気軽に寿司をつまめて飲める場所として、渋谷のど真ん中の憩いのスポットとなってくれれば嬉しい」と語る玉山氏。その裏には1979年から41年営業し、1日約700人を動員してきた渋谷のランドマークとしての自負がある。

「長年続けられたのは、お客様の声に応えリーズナブルな価格で寿司を提供してきたということもありますが、それ以上にこの場所に思い入れを持ってくれている方がたくさんいたからだと思います。『台所家があるから渋谷に来た』という人だけでなく、『台所家があるから日本に来た』という海外のお客様もいました。利益だけを考えれば、高価格帯の寿司屋にシフトした方が良かったかもしれませんが、老若男女いろいろな人が集まる雑多な街が渋谷でもありますし、我々もお客様を限定したくありません。

『台所家』という店名は父がつけたのですが、我が家のようにリラックスして使ってほしいという思いが込められています。今後も寿司を中核としながらも、どんな人でも受け入れるお店として、一人でも多くファンを増やしたいです」

最後に今後の目標、展望を玉山氏に伺ってみた。

「2020年の閉店で一番辛かったのは従業員を解雇することでした。経営をしっかりしておけば、続けられていたかもしれませんので。だからこそ、飲食店である前に会社として経営をしっかりしていきたいと考えています。また、以前からずっと思っているのが、飲食業界の3K(キツイ、汚い、危険)というイメージを変えていかなくてはいけないということです。少し大げさかもしれませんが『弁護士になるより台所家で働きたい』と思ってもらえるようブランディングし、労働環境を整備し、給料面も改善したいと思っています。長くうちで働いてもらえるような環境整備を進めたいですね」

居酒屋という新たな業態で新時代に挑む『すし居酒屋台所家 渋谷本店』。多様な人々を受け入れ続けた結果、育まれた文化がサービスや商品にも反映されている。単なる飲食店としてだけではなく、渋谷という街の“交差点”として今後も親しまれそうだ。

『すし居酒屋台所家 渋谷本店』
住所/東京都渋谷区道玄坂2-15-1
電話番号/03-6809-0341
営業時間/17:00〜23:30
定休日/日曜
席数/71
公式インスタグラム

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。