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時給900円から年商7億円に! 新業態『三茶 貝介』も絶好調のけむり「急成長の秘密」

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ガラス扉に縄のれんをかけ、中が見えるようにして入りやすさも追求した『三茶 貝介』

グローバルダイニング出身で、2008年に独立し『炭火串焼 けむり』を中心に直営11店舗、FC6店舗の計17店舗を展開する株式会社けむり代表の小松大地氏。『炭火串焼 けむり』新宿店では12坪で月商約800万円、中野店では10坪で月商約600万円を叩き出すなど、繁盛店を多く経営している。

焼鳥を中心に展開してきたけむりだが、2014年には『和食ごしき』を、2018年には『鮨かんてら』を、そして2022年の年末には貝類とイカ、タコ、甲殻類をメインとした『三茶 貝介』を続々と三軒茶屋に開業。今回の取材では、これまでの経歴をはじめ繁盛店の作り方、新業態を成功させるコツを中心にうかがった。

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株式会社けむり代表の小松大地氏

グローバルダイニング入社もアルバイトに降格、
物件の契約が白紙など不調続きだった20代

今でこそ飲食店を複数経営する敏腕社長であるが、飲食業界に足を踏み入れた時は順風満帆ではなかった小松氏。じつは新卒でグローバルダイニングに入社するも、入社3か月後の店舗ミーティングの結果、アルバイトに降格させられてしまった経験がある。

「接客など、プレーヤーとしての評価は高かったのですが、チームをまとめる力が足りないという判断でした」と当時を振り返る。それでも時給900円のアルバイトとして、1年半~2年ほど『Cafe La Boheme(カフェ ラ・ボエム)』といったグローバルダイニングの店舗で働いた経験は、特に接客の面において「今の自分に大きく影響している」と話す。

転機は入社から2年経った頃、常連客から「知り合いが焼鳥屋をやるんだけど、働かない?」と声をかけられたことだった。「将来的に自分の店を持ちたいという夢があり、このまま大企業でアルバイトから店長まで上りつめて開業することよりも、自ら市場や生産者の元へ足を運び、食材を仕入れるような経験が積める個人店の方が、その夢に近づけると感じました」と小松氏は振り返る。

転職した赤坂の『いやま』では、包丁を持ったことがない状態から丸鳥を捌いて、串打ちするところまで2年で身につけ、接客も担当した。良い食材の見極め方もこの時学んだという。25歳になる頃には「30歳までにお店を持てたらいいんじゃない」と親方も言ってくれるほどに成長したというが……。

早く独立したいという気持ちが強かった小松氏。『いやま』で勤めながら、休みの日は運送業の日雇いバイトでもお金を稼ぎ、手取り25〜30万円のうち毎月17万円を貯金にまわし、2年間で開業資金の頭金として400万円を貯金した。

しかし独立も最初はうまくことが運ばなかった。2008年の2月に『いやま』を退職し、初台の物件で契約を進めるつもりだったが、契約の前々日に大家から一方的に契約を白紙に戻されてしまったのだ。その後も千歳烏山で物件を申し込むも契約まで至らない。貯金を切り崩す生活にも限界があると、当時住んでいたエリアの管轄である府中のハローワークに仕事の相談をしに行った際、帰りに立ち寄った不動産屋さんで見せてもらった物件が『炭火串焼 けむり』創業の地となったのだ。

開業資金として貯めていた貯金に加え、日本政策金融公庫から700万円の融資を受け、さらに親から結婚費用としてもらっていた200万円も合わせ1,200〜1,300万円を元手に開業にこぎつける。当初は小松氏のほかに一人を雇い、たまに友人にアルバイトとして手伝ってもらう形でお店を運営した。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。