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最盛期は年商2億円超え、伝説のもつ焼き店『秋元屋』。秋元宏之氏の「成長を止めない店作り」

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「秋元屋系」を特徴づける、秘伝“だった”味噌ダレ

『秋元屋』、そして「秋元屋系」と呼ばれるもつ焼き店を特徴づけている要素のひとつが「味噌ダレ」。これは秋元氏が修業時代に働いたもつ焼き店の「秘伝」だった。

「『秋元さんだから教えるんであって、誰かに教えてもらっちゃ困るよ!』と釘を刺されていたのですが、毎日自分で味噌ダレを作るのがめんどくさくなってしまって。一度作り方をスタッフに教えたら、どんどん広がって、そのうち大学ノートにレシピも書かれちゃってね。だからうちで働いていた人は、僕に1円も出さないで(笑)味噌ダレを覚えて出ていく」

『秋元屋』のもつ焼きの最大の特徴である味噌ダレ

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「秋元屋系」が評判になることで、元祖である『秋元屋』にも足を運ぶ客がいる。また、オリジナルの味噌ダレを作っていたもつ焼き店も、『秋元屋』のおかげで評判となり客足が増え、今でも関係は良好だという。「あの時、フランチャイズ方式にして味噌ダレを売っていればよかった」と秋元氏は笑うが、その気前の良さが「秋元屋系」を浸透させた一因と言えるだろう。

「秋元屋系」と呼ばれることについて、本人はそれほど気にしていないというが、秋元屋系の店舗を見ると経営上の共通点を感じるという。

「独立する人になにか特別に教えていることはありません。みんなそれぞれが工夫してやっていますが、経営的な感覚、特に値付けの部分は共通していると思います。『これくらいの値段をつけるなら、これくらいの盛り付けにするだろう』と、僕がやってきたことを踏襲している」

現在もアップデートを続ける元祖店。その創業者は「コンプレックスの塊」

休日は飲み歩き、その店のいいところをブログに記している秋元氏

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「最悪の煮込みからはじめて、現在の形になるまでかなり時間がかかりました。いまだに試行錯誤を繰り返しています」

その言葉通り、今でも休日は同業者の友人らと他店を訪問し、いいと思ったものを自店で出せないかと常に考え、ブログに記すことを習慣としている。また、自らも焼き場に立ち、勘を失わないようにしているという。創業20年目となる現在でも、研鑽を欠かさないのはなぜか。

「自分は料理もできない素人から店を始めたので、常に不安がある。コンプレックスの塊なんです。売上がいくら上がっても、腕のいい料理人や、いいお店に対するコンプレックスが抜けない。明日こそ一人前になりたい……と、日々思い続けてやっています」

店がどんなに繁盛しても、秋元氏は初心を忘れずにいるのだ。美味しい酒とつまみに心を動かし、それを「自分でもやりたい」と考え実行する。秋元氏自身が「憧れ」を持ち続け、成長を止めないこと。それこそが、『秋元屋』を名店たらしめている理由なのかもしれない。

20年目の今でも、成長を続ける秋元屋

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『秋元屋』
住所/東京都中野区野方5-28-3
電話番号/03-3338-6236
営業時間/17:00~22:00(土日祝16:00〜22:00)
定休日/月曜(祝日の場合は翌日休)
席数/50

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髙松 孟晋

ライター: 髙松 孟晋

女性誌やグルメガイド系の雑誌・MOOKを中心に、カルチャー誌・音楽誌などで活動してきたサブカル世代の多様性担当ライター。おいしいものとインターネットが大好き。