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月100万円の赤字から一転、TikTokで売上4倍に。『PLUCK AND PLANT』のSNS活用術

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ドライフラワーアーティストのmiya氏(写真左)

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TikTok開始で売上4倍。拡散のきっかけはコメントを促す動画づくり

そこから2か月後の4月に、売上が4倍にまで跳ね上がる起爆剤となったのがTikTokだ。“廃業”の2文字が頭をよぎり始める中、最後にお金をかけずにできる宣伝……とあがくように運用を始めたと、今度はmiya氏が口を開いた。

「もともと動画でのアプローチは一案でしたが、飲食店アカウントは、レシピや料理紹介にネタが限られる印象がありましたし、それはどの店もやっていた。単なるグルメアカウントをつくっても意味がないのではと思っていたんです」

そこでmiya氏は料理ではなく、それをつくるkj氏にフォーカスし、ユーザーから店の改善策を募りながら「TikTokユーザーに、店とkj氏を育ててもらおう」と考えたという。

初投稿された動画は、驚くほど直球だった。「僕は最後まで諦めたくない」というタイトルとともに流れてくるのは、前述の長髪・ニット帽・パーカー姿でkj氏がパスタを調理をする当時の店の日常風景。そこに「初月から100万円以上赤字」「このままだと赤字閉店」と自虐とも思えるほど店の現状をせきららに綴り、最後に「黒字化を目指すには、どうしたらいいのだろうか?」と、ユーザーに問いかけた(TikTokに初投稿した動画はInstagramでも公開。以下動画はInstagramより)。

これが瞬く間に若者たちのスマートフォンを駆け巡ることとなる。問いに対して寄せられたコメントは1,000件近く。動画のインパクトに加え、TikTokの仕組みの一つである「コメント入力中も動画再生時間としてカウントされる」「動画の再生時間が長いほど拡散されやすい」特徴を見事に捕らえ、波は一気に広がったのだ。

ユーザーの声を受け、店内はより落ち着いて料理を楽しめる空間に

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匿名というSNSの特性も相まって、届いた声の多くが忌憚のない厳しいものだったが「客観的な意見を知ることができて、素直に納得できた」とkj氏は話す。

「真っ先に取り組んだのは、飲食業者としての僕の身なりへの指摘でした。2日後には髪をバッサリ切り、エプロンと制服を買って2本目の動画を投稿。“これであってるのか?”と少し不安でしたが、温かいコメントをたくさんいただいて安心しました」

kj氏がこうしてユーザーの声を真摯に受け入れる姿もまた彼らの心をつかんだのだろう。このアフター動画には前回を上回る1,400件ほどのコメントが寄せられ、再び大きく拡散されることとなった。

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。