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創業67年、昭和の香り漂う酒場『豚の味珍』。激変する横浜駅の狸小路で「守り続けるもの」

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昭和の風情が今なお残る「狸小路」入り口

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「横浜駅周辺で変わらないのは狸小路ぐらい」

「日本のサグラダ・ファミリア」といわれるほど長く続いた横浜駅の工事も、2020年6月に開業した「JR横浜タワー」の完成で一段落した。しかし横浜駅周辺の大改造計画「エキサイトよこはま22」に伴い、再開発が今後も進む見通しだという。なお、横浜市に問い合わせたところ、今のところ狸小路が再開発の対象になるかどうか、具体的な話は出ていないそうだ。

これまでの周囲の変化について、簗瀬氏に聞いた。

「私が店に入った頃、鶴屋橋の架かる帷子川分水路の向こう側、鶴屋町には寿司屋と天ぷら屋、スナックにキャバレーが一軒ずつあるぐらいでした。それが今や居酒屋などの飲食店がたくさんありますよね。変わらないのは狸小路ぐらい」

同店の接客も変わらない。店長も店員も親切であり、老舗によく見られる威圧感はない。しかし、厳格なルールが存在する。「大声で騒がない」ことだ。店内で静かに会話が楽しめるほか、一人でも落ち着いて飲食できるようにという配慮である。コロナ禍以後、グループ客は「4人まで」というルールも加わった。

変わったのは、客の嗜好ぐらいと簗瀬氏は話す。かつては豚足とミミの売れ行きがダントツだったものの、今ではそうでもないそうだ。「ちょっと食感が固いイメージがあるのかなと思いますね。実際に味わっていただくと一変するはずですが」と簗瀬氏は分析している。

昭和から現在まで変わらずに営業を続ける『豚の味珍』。久しぶりに訪れたとしても、なじみの店長や店員がそこに居て、「ヤカンとラッパ」が注文できる同店の存在は、激変する横浜駅周辺でいっそう輝きを増している。魅力的なメニューに加え、客が心地よく過ごせるよう配慮し、伝統を守り続ける大切さを『豚の味珍』は教えてくれる。

『豚の味珍』
住所/神奈川県横浜市西区南幸1-2-2(本店)、横浜市西区南幸1-2-3(新店)
電話番号/045-312-4027
営業時間/16:00~22:00
定休日/日曜・祝日
席数/11(本店)、8(新店1階)、28(新店2階)

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!