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創業67年、昭和の香り漂う酒場『豚の味珍』。激変する横浜駅の狸小路で「守り続けるもの」

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本店の前に立つ3人の店長たち。左から、鈴木学氏、簗瀬敏氏、小川雄一氏

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横浜駅西口で異彩を放つ飲み屋街「狸小路」。その中ほどにたたずむのが『豚の味珍(ぶたのまいちん)』だ。豚のさまざまな部位に独特の調理を施した、他店では味わえないまさに「珍味」を満喫できる名店である。創業から67年にも及ぶ歴史と伝統について、生き字引的存在の簗瀬敏(やなせさとし)氏にうかがった。

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狸小路の歴史とともに歩んできた『豚の味珍』

「狸小路」は横浜市の区画整理によって、1956年(昭和31年)に誕生。それまで同じ横浜で焼き餃子などを提供する屋台を営んでいた創業者が、同年「狸小路」に『豚の味珍』をオープンさせ、1978年(昭和53年)には向かいに新店も続き、現在に至る。

『豚の味珍』の本店は鈴木学氏、新店1階は小川雄一氏、2階は簗瀬氏がそれぞれ担当している、いわば3店舗体制だ。以前は本店2階も営業していたが、担当する店長の引退とともに、2020年(令和2年)1月に閉めている。常連の間ではそれぞれの店長にファンもついているほど。

鈴木氏は陽気な性格で、小川氏はどちらかというと寡黙なタイプ。そして簗瀬氏は、同店で最も長いキャリアを持つベテラン。多忙時は別として、界隈の歴史を尋ねると気さくに教えてくれるような人柄である。こうした店長たちの人柄が各店舗ごとの雰囲気を醸し出す。客層は主に近隣で働くサラリーマン。土曜日はカップルやふらりと訪れる客などさまざまだ。

『豚の味珍』メニュー

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メニューは3店舗共通で、カシラ(頭)、タン(舌)、豚足(足)、ミミ(耳)、ガツ(胃)、シッポ(尾)の6種の「珍味」(各税込720円)が、いわばメインディッシュ。

つけダレ。卓上の酢とカラシを基本に、好みの味に仕上げる

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つけダレとして、小皿にカラシと酢を混ぜ入れ、好みでラー油や醤油、おろしニンニクを追加する。このつけダレを添えて珍味を味わう仕組みだが、新規の客に調合の仕方を親切に教えてくれるのは、どの店舗でも同じだ。

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!