『炭火焼き リリー』も月商1000万円超えの快挙。H VIEWが新業態をヒットさせる法則とは?
インバウンドニーズの高いエリアに出店。でも、ターゲットは日本人
『炭火焼き リリー』を出店した渋谷はそうした候補エリアのひとつになるわけだが、そのうえで「インバウンドニーズが高いことがエリア選定の決め手になった」と中田氏は言う。
「といっても、インバウンドニーズを狙うというわけではありません。ターゲットはあくまで日本人。インバウンド客は新宿、渋谷、浅草などのビッグシティに集中するため、駅前の店はインバウンド客で溢れかえることになります。その分、駅前の店を利用できない日本人が増えますから、駅前繁華街から外れた立地でも集客できると考え、『炭火焼き リリー』の出店を決めました」
業態開発では「27歳のOL」をペルソナに設定
『炭火焼き リリー』は客単価5,500円のすし居酒屋だが、その店づくりは既存のすし居酒屋とは一線を画すスタイルを打ち出している。
フードは日替りを含めて9カテゴリーで65品をラインアップ。握り鮨は「マグロ赤身」320円や「真鯛」210円など定番ネタに絞り込み、盛り合わせ1品と単品15品を揃える一方、「魚卵宝石巻き」1,080円や「ネギトロ沢庵」540円など名物手巻き鮨12品を用意。また、鮨に並ぶフードの柱になるのが端で焼きあげる原始焼きで、「大トロいわし」1,090円や「大海老一尾」870円など7品を揃えている。
一方、アルコールはグラス(120ml)770円~、徳利(150ml)990円~の価格で34種を常備する日本酒がメインアイテムだが、クラフトビール8種、グラスのナチュラルワイン6種を揃えるなど、そのメニューラインアップも独特だ。
店舗規模は23坪48席。店内の中央に炉端を囲んだL字型カウンターを設置しているが、目を惹くのはエントランス脇に配置されたハイスツールの長テーブル。白を基調としたシンプルな内装も含め、一見するとすし居酒屋とは思えないスタイリッシュな空間に仕上げている。
こうしたオリジナル性の高い業態づくりのポイントになっているのがペルソナの設定だ。
同社の業態開発でユニークな点が、ほとんどの業態で「27歳のOL」をペルソナに設定していることである。「社会に出て、食経験も十分に積み、結婚も意識し始めているけど、後1~2年は遊びたい女性」が27歳のOLの具体的な人物像。「そういった女性に満足していただける店をつくることで、30~40代男性の利用も自然と伸びる」との狙い通り、実際に『炭火焼き リリー』の来店客の男女比は4対6で推移している。
