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東京都の飲食店に対し上限300万円を補助。「インバウンド対応力強化支援補助金」が募集開始

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円安などの影響でインバウンド需要が高まっている一方、インバウンドへの対応が追い付いていない飲食店も多い。インバウンド対応の必要性を理解してはいるものの、コストや手間がかかることから、後手に回っているというのが現状だろう。ここでは、そんな飲食店に向けて、東京都と公益財団法人東京観光財団が実施する「インバウンド対応力強化支援補助金」の内容や対象者などについて解説する。

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訪日外国人旅行者数は2019年の約8割まで回復

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、インバウンドが回復してきている。コロナ禍で急激に落ち込んだ訪日外国人旅行者数だが、過去最高だった2019年の約3,200万人に対し、2023年はその約79%の約2,507万人にまで回復した。

消費額については、2023年は約5.3兆円と過去最高を記録。円安の影響もあり、1人あたりの旅行支出は21万2,000円となっている。インバウンド消費は今後も増えると見られており、JTBの年間旅行動向見通しでは、2024年の訪日外国人旅行者数はコロナ禍前の2019年を上回ると予測されている。そのような状況の中、東京都と公益財団法人東京観光財団はインバウンド対応をいっそう強化するため、インバウンド対応力強化支援補助金の募集を開始した。

インバウンド対応力強化支援補助金とは

インバウンド対応力強化支援補助金とは、インバウンド対応力強化のために下記の事業を実施した場合に、補助金を受け取れる制度のこと。これらの対応を考えている東京都の飲食店は、積極的に活用を検討しておきたい。

・多言語対応(施設等の案内表示・施設内設備等の利用案内・ホームページ・パンフレットの多言語化、多言語対応タブレットの導入、翻訳機の購入等)
・公衆無線LANの設置
・クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入
・外国人用グルメサイトへの掲載に要する費用(飲食店のみ)

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インバウンド対応力強化支援補助金の対象者と申請方法

インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都と公益財団法人東京観光財団が実施しているため、対象は東京都内の施設に限られる。飲食店のほか旅館・ホテル営業を行う施設なども対象となるが、中小企業基本法で定められる中小企業かつ、東京都の多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT TOKYO」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている店舗でなければならない。まだ掲載されていない場合は、先にこちらの対応を進めよう。

補助額は補助対象経費の2分の1以内で、事業者向けの上限は300万円。2025年3月31日まで応募を受け付けているが、補助金申請額が予算額に達した時点で受付を終了するため、活用を考えているのであれば早めに申請しておきたい。

申請する場合は「インバウンド対応力強化支援補助金/TCVB 公益財団法人 東京観光財団」から交付申請書などの必要書類をダウンロードし、記入のうえ、簡易書留にて東京観光財団へ郵送する。また、電子申請システム(jGrants)による申請も可能だ。

円安が進んでインバウンド消費がこれからも続くと見られる中、飲食店にも引き続きインバウンド対応が求められるのは間違いない。特に、外国語メニューやクレジットカード・電子マネー決済対応は必須といってもいいだろう。対応していない飲食店はこの機会に補助金を活用し、外国人集客に向けた準備を万全にしておこう。

■インバウンド対応力強化支援補助金

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com