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渋谷『嚔(アチュー)』、坪月商は驚異の75万円。SNS時代に逆行する「アナログ戦略」

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左が弟・砂田康太氏、右が兄・砂田健太氏

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2022年8月に渋谷『大人気(オトナゲ)』を立ち上げ、すぐさま予約で満席になる繁盛店に成長させた砂田健太氏・康太氏兄弟。彼らが2店舗目として仕掛けたのが、立ち呑み酒場『嚔(アチュー)』だ。

「住所非公開・固定電話なし・看板なし」でありながら、2023年5月のオープンから1年で坪月商75万円を売る繁盛店に成長した秘訣とは? 砂田兄弟の戦略を聞いた。

【注目記事】初の立ち上げで月商700万円達成の渋谷『大人気』。集う人を幸せにする兄弟の唯一無二の店づくり

渋谷マークシティから少し南の路地裏、丁字路の一角にあり

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大阪の立ち呑み酒場の活気と気軽さを、渋谷のオフィス街に

「結局僕らがやりたいことは、SNSがない時代の繁盛店のつくり方と同じなんです。目の前のお客さまに『おいしかった』『楽しかった』と思ってもらうことの繰り返し。このアナログな温もりを一番大切にしています。それがお客さまに刺さって、繰り返し来てもらえる状況を目指しました」(弟・康太氏)

「アチュー」とは英語で「はくしょん」。つまり、嚔(くしゃみ)のオノマトペ(擬音語)である。噂されるとくしゃみが出るように、誰かがどこかで噂する、噂で広まる立ち呑み屋というのが、『嚔(アチュー)』のコンセプトだ。

住所は非公開、店には固定電話も看板もない。コンセプトはキャッチーだが、「これでは集客に苦労するのでは?」と問いかけると、二人は「意図してやったことだから、苦労ではないですね」と事もなげに話す。

「僕たちは物件を見てから店づくりの方向性を決めています。この物件は間口が2つあって、中からの景観がいい。この場所に立ったとき、僕らのルーツである大阪の立ち呑み酒場を連想しました」(弟・康太氏)

外から店内の様子が覗けて、ふらっと入りやすく、中に入れば活気のある雰囲気に包まれる。そんな大阪ではポピュラーな立ち呑み酒場が、東京ではもの珍しいという。

「『大人気』はほとんど新規の予約で満席になる店になったから、『嚔(アチュー)』はもっとお客さまとの距離が近く、予約なしでラフに立ち寄れる店にしたかったんです。立ち呑み屋はお客さまとスタッフが物理的に同じ目線になるから、両者がフラットな関係になって、一緒に楽しむグルーブ感が生まれるのが面白いですよね」(兄・健太氏)

渋谷の中でも落ち着いたビジネス街に位置する同店。周辺に名だたる人気店が軒を連ねていることも店づくりの背景にある。

「コロナの影響もあってか、1軒でお腹いっぱいになる店が増えていると感じていて。現に『嚔(アチュー)』周辺の飲食店は、予約必須で単価4,000円を超える店がほとんどです。だから目当ての店に着く前の0.5次会としてや、食後もう1杯呑みたい1.5次会としての、“0.5使い”ができる使い勝手のいい店を追求しました」(弟・康太氏)

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。