茅場町『HOPPERS』が連日満席! 「楽しさ」を追求したモダンスリランカで成功
現地のリゾートホテルのテイストを取り入れた空間で打ち出す、モダンスリランカ料理
インド料理をベースにした『スパイスカフェ』に対し、『HOPPERS』のコンセプトはモダンスリランカ。日本人にはあまり馴染みがないジャンルを掲げたのはなぜなのだろうか。
「本店をそのコピーが上回るということはまず難しいので、『スパイスカフェ』と同じことをするつもりはありませんでした。私が最初に開業した頃から比べて、インド料理はマーケットに浸透してきましたが、隣国のスリランカについてはまだあまり知られていません。ただ、さまざまな食文化が広まり、来日するスリランカ人も増えたことから、ここ3年ほどでスリランカ料理の店が急増しています。このタイミングで、その魅力を広めたいと思いました」
内装も木造アパートをリノベーションした『スパイスカフェ』と趣を異にし、グレーで統一されたシンプルモダンな雰囲気。現地のリゾートホテル等の建築でよく見られるテイストを取り入れ、他店との差別化を図った。
【注目記事】わずか10席の繁盛店『コントワールクアン』。ワンオペでも強い店はこう作る!
ナチュラルワイン×ガストロノミックなスリランカ料理を日本から発信する
“モダンスリランカ”とともに料理のテーマとして掲げているのが、“ハレの日に食べるスリランカ料理”。現地の食文化をベースにしつつ、最新の調理法や日本の食文化も取り入れて、現代的かつ特別感のある料理に昇華させている。伊藤氏はこれまで自店の営業のかたわら、フレンチやイタリアンなど数多くのレストランで研修を行って技術を習得し、全国各地の産地にも時間を見つけて足を運んできた。そういった積み重ねが、『HOPPERS』の料理に集約されている。
ランチは「ライス&カレー」(2,000円)。ライス&カレーは、現地では定食を意味し、複数のおかずやカレーをご飯と盛り合わせている。おかずは3〜4種類が一般的だが、『HOPPERS』では常時9種類を盛り合わせてハレの日感を表現。また、丸干しイワシや万願寺とうがらしなど、日本の食材も柔軟に使い、さらにそういった食材との相性が高まるよう、ご飯はバスマティライスとあきたこまちを同割でブレンドしている。好みでかき混ぜるのが現地流の食べ方で、混ぜても味のバランスが良くなるよう、同じおかずでも一緒に盛り合わせるものによってレシピを変えているという。
一方、ディナーのメニューは7,150円のおまかせコースと、コースの料理を抜粋したア・ラ・カルト。コースに合わせたワインペアリング(6,050円)も用意している。
「現地では食事と一緒にアルコールを楽しむ文化はありません。しかし、ナチュラルワインとスパイス料理の相性は非常にいいと、『スパイスカフェ』での経験で実感してきました。日本から発信する新しいスリランカ料理を表現していきたいと思っています」
スリランカの食文化にはアーユルヴェーダも影響していることから、同店でもその概念を取り入れている。例えば、食事の前に出す水は、消化を助けるとされるカルダモンの香りを移した白湯。旬の食材を使い、オイル、塩、スパイスは量を控えめにしているという。また、食後の飲み物は紅茶で、スリランカの7大産地から好きな茶葉が選べるようにしている。
