ヒットメーカーの新店、溜池山王『溜池カドヤ』がとった「ライバルと戦わない」戦略
ライバル店を気にするよりも、エリアや客層に合わせた店づくりに注力したい
これまでにも多くの店舗を手掛けてきた大谷氏が、特に重要視しているのがエリアの分析だ。『溜池カドヤ』が出店した溜池山王駅付近は、近所のコーヒーチェーンが土日を定休日にするほどの典型的なビジネス街。しかも駅の周りに飲食店が少ないため、ランチと仕事終わりに一杯やれる定食居酒屋の需要は十分に見込める。蕎麦屋よりも客単価が期待できることも、定食居酒屋への業態転換にゴーサインを出した理由だった。
そんな大谷氏だが、競合となる近隣の飲食店についてはあまり調査しないという。
「流行り廃りもありますし、近隣の店を調べてもあまり意味がないと思っているんです。競合に勝つことよりも、お客様との共感を生み出すほうがよっぽど大事です。競合の動向に惑わされず、エリアの客層に合わせて店のクオリティを高めることに注力しています」
客層の徹底的な把握に基づいて行った決断のひとつが、完全キャッシュレス化での運営だ。最近では珍しくないが、オペレーションなどに問題はないのだろうか。
「溜池山王は現役で働く方が大多数のエリアのため、やはりキャッシュレス決済がハマりました。大体の決済方法が使えるシステムなので、今のところ特に不満の声は上がっていません。そういう時代ですしね。なにより、売上の管理が圧倒的に楽になったので導入してよかったです」

飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
この記事のご感想をお聞かせください