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中目黒で波に乗る居酒屋『ナカメオンザビーチ』。伊豆・下田の魅力で月間1,800人を集客!

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『ナカメオンザビーチ』店長の原哲也さん(写真中央)。フレンチ、寿司店、ステーキ店などに勤めてきた

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中目黒駅から祐天寺方面に伸びる目黒銀座商店街、通称メギンの一角。2023年10月に開業した『ナカメオンザビーチ』は、都会に現れた「海の家」のような存在だ。バルコニーデッキを彷彿とさせる小上がり、サーファーでなくてもライドしたくなる美しい大波の写真……、そこに繁盛店ならではの熱気が混じり、南国の浜辺に訪れたかのような高揚感に包まれる。

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日没後、飲食店の明かりが灯り出す目黒銀座の一角。大きな『ナカメオンザビーチ』のサインが目印だ

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下田への恩返しを兼ねた「自分たちが通いたい店」

看板料理の軸になるのは、伊豆半島のほぼ南端にある下田から届く新鮮食材。たとえ下田に行ったことがなくても、どこか懐かしさを感じる地元名物も揃う。どの皿も盛りが良く、てんこ盛りの愛情まで感じる。

「たっぷり釜揚げしらすの 挟みミルフィーユピッツァ」(1,290円)

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伊豆に縁のある人たちが噂を聞きつけて来店し、常連になるという現象も起きているという。下田市長や観光協会も視察に訪れるなど、言うなれば「勝手連のアンテナショップ」という趣だ。

フードメニューは70種類近く。中目黒の人気店『和ビストロgg』を手掛ける青島邦彰氏の監修

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「よくオーナーが口にするのが『下田への恩返しをしたい』という言葉なんです」と開業の経緯を明かすのは店長の原哲也さん。38歳の原さんと同世代のオーナーは、30年以上前から通い詰めている下田の街と、出身地である中目黒、ふたつの土地を結びつけ、どちらにも貢献したいという思いを漠然と抱いていたそうだ。

看板メニューは「下田漁港産 金目鯛の丸ごと煮つけ」(3,890円)

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2023年、その覚悟を後押ししたのが下田からの知らせだった。10年近く親交があったカメラマンの土屋高弘さんが病に倒れたのだ。土屋さんは日本を代表するサーフィンフォトグラファーであり、下田・大浜にある飲食店『オンザビーチ』の店主でもあった。

世界中の海で撮影された作品を眺めながら、食事を楽しむことができる贅沢な場所。そんな下田を訪れた際には必ず立ち寄る『オンザビーチ』のようなお店を中目黒に作り、土屋さんが撮影した下田の写真を飾りたい……。こうした決意を固めて『ナカメオンザビーチ』の開店に漕ぎ着けたが、残念ながら土屋さんが店へ足を運ぶことは叶わず、その月に逝去した。60歳の若さだった。

『ナカメオンザビーチ』開業前の店内風景。土屋さんによる大迫力の大浜の写真に目を奪われる。この日はビーチボーイズの名盤「ペットサウンズ」が店内に流れていた

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神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。