“楽”出身者の新店、新中野『まんまる』。名物はエゾ鹿も、“北海道にこだわらない”の真意
楽コーポレーションにて約12年、諸先輩方から居酒屋のイロハを学んできた齊藤幸輔さん。2023年1月10日に念願の独立を果たし、新中野に開業した『まんまる』が魅力的な居酒屋だと各方面から評判だ。名物は齊藤さんの生まれ故郷である北の果て、訓子府(くんねっぷ)町から届くエゾ鹿を使用した逸品。「決して北海道産にこだわっている訳ではない」と前置きをする、齊藤さんの真意やいかに!?
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雰囲気、料理、接客、全てが良いと巷で噂
開業から1年半が過ぎ、すっかり新中野に根付いた居酒屋『まんまる』。Google Mapsのクチコミでも平均星4.5と高評価が並ぶ。
・オシャレな内装とアットホームな雰囲気。週3は通いたい
・平日の夜でもなかなか混んでます! 予約したほうが良いかと
・内装、BGMの好みが合う心地の良いお店
・「名物 エゾ肉のハンバーグ〜シャリアピンソース〜」は絶品
・日本酒が豊富で料理も一捻り効いたものばかり
雰囲気、料理、接客とバランスよく高い評価を集めているが「楽コーポレーション卒業生であれば誰しもができることを、きちんと実践しているだけ。尊敬する先輩方とは比べ物になりませんよ。繁盛店だとか人気店みたいには紹介しないでくださいね」と謙遜する店主の齊藤さん。「売上はまだまだ不十分」とは言うものの、12坪30席で1年目から月商350万円を達成しており、すでに経営は軌道に乗っている。
原動力は知られざる故郷の名産品
その集客に一役買っているのが「皆様ご存知!! 北海道訓子府町の熟成鹿」といったキャッチフレーズのハンバーグ。「皆様ご存知!!」と言い張るが、実は齊藤さん本人ですら店を立ち上げる直前まで存在を知らなかったというのが面白い。
「国から開業資金を融資していただく際に担当者さんが教えてくれたんです。『齊藤さんの故郷に、こんな良い鹿肉があります』って。正直、訓子府町の友人たちに聞いても誰も知りませんでしたよ(笑)。でも、本当にびっくりするくらい、おいしい鹿肉だったんです」
仕入先は「クリーンキル」という頭部または頸部を一発で仕留めた高品質なエゾ鹿だけを扱う専門店「poro wacca(ポロワッカ)」。撃ったその場で血抜きを行い、腹部は開かず2時間以内で搬送し、解体後は個体に合わせて1~3か月じっくり熟成させることで旨味成分を最大限まで引き出しているという、つまり超一流の食材なのだ。
ハンバーグの下味に使用するのは、ミシュラン三つ星の名門フランス料理店のシェフがこっそり教えてくれた「鹿肉に最も適したミックススパイスです。スーパーで購入できる市販品の中では、ですけどね(笑)」というもの。タイム、セージ、フェンネル、ローレル、ローズマリーなどが優しく香る。
玉ねぎの甘味と赤ワインの酸味を効かせたシャリアンピンソースが定番。この日、使用された玉ねぎは訓子府町の隣、北見市で収穫されたものであり、言わずもがな相性は抜群だ。夏を意識したという「おろし紫蘇ポン酢」や「辛トマトソース」のほか、チーズ好きのお客に向けた「チーズのっけ」などソースもいろいろ。プラス500円で高級卵「夢王」の卵黄or目玉焼きをトッピングできる。
「今日はたまたま北海道産の玉ねぎを使っていますが、いつもではありません。だって北海道から食材を取り寄せたら送料がすごいんですよ。『おいしさとコストパフォーマンスの擦り合わせが大切』というのは、楽コーポレーションで先輩方から散々叩き込まれましたから」
食材の原価率は「30〜33%の間をキープ」と徹底している齊藤さん。超一流のエゾ鹿でも挽肉やすじ肉などを扱うことで価格を抑え、客単価5,000円の居酒屋メニューとして見事に落とし込んでいる。
