新紙幣発行で飲食店への影響は? まだ慣れぬデザインに「会計ミスが不安」の声も
弊社では、2024年7月3日に発行された「新紙幣」について、飲食店の対応と発行後の影響を調査するアンケート調査を実施した。その結果、券売機や自動釣銭機を導入している飲食店(N=28)のうち約3割が、機器のアップデートや交換などをいまだ行っていないことが分かった。今回は、アンケートの調査結果とともに、新紙幣対応での困りごとについても紹介する。
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:391
調査期間:2024年7月11日~2024年7月18日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら
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「券売機」使用飲食店の約3割が新紙幣未対応。今後は「キャッシュレス化」も視野に
まず初めに、店舗で導入している会計機器について調査を行った。最も多かったのは「iPadなどのタブレット型レジ(51.9%)」との回答。以下「レジスター専用機(40.4%)」、「ハンディオーダー ※従業員が専用機器を使用(24.3%)」と続いた。「タッチパネル ※セルフオーダー、テーブルオーダー」、「券売機」、「自動釣銭機」については、9割以上の飲食店が未導入であり、今後の導入も検討していないと回答した。
次に、券売機や自動釣銭機を導入している店舗に新紙幣発行に伴いどのような対応を行ったか聞いた。すると「既存の券売機 or 自動釣銭機のアップデート」が25.0%で最も多く、「既存の券売機 or 自動釣銭機の一部部品を交換」が21.4%、「新しい券売機 or 自動釣銭機に入れ替え」が17.9%、「その他」が3.6%と続き、導入店舗の67.9%が何らかの対応を行ったことが分かった。また、「既存の券売機 or 自動釣銭機をやめ、キャッシュレス対応に切り替え」は0%だった。
また、券売機や自動釣銭機を導入しながら「未対応(32.1%)」と回答した飲食店に、今後どのような対応をする予定か聞いたところ、最も多かったのは「既存の券売機 or 自動釣銭機のアップデート」で44.4%となった。続いて「既存の券売機 or 自動釣銭機の一部部品を交換」が22.2%で、「既存の券売機 or 自動釣銭機をやめ、キャッシュレス対応に切り替え」が11.1%だった。
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新紙幣発行による会計ミスや偽造紙幣に対する不安もある
さらに、新紙幣対応において大変だったことや困りごとについて自由回答形式で尋ねたところ、72.4%の飲食店が「特にない」と回答。その一方で、会計ミスや正規紙幣かどうかの不安、両替の不便さ、新たな券売機・自動釣銭機導入のコストや手間の増大などについての困りごとも挙げられた。その一部を紹介する。
■会計ミスの懸念
・まだ見慣れないものなので、会計繁忙時間に確認作業で戸惑うことが予想されます(東京都/ラーメン/2店舗)
・ピン札が多いため(数えにくく)、従業員が余分にお釣りを返してしまっていた(千葉県/焼肉/3~5店舗)
■偽造紙幣かどうかの判断ができない
・現時点ではまだトラブルはありませんが、新札が偽札でないかの見分けがつかなさそうで不安です(東京都/和食/1店舗)
・新紙幣に慣れてないので、本物かどうかを見分けることに不安がある。海外出身のスタッフはなおさら不安が大きい(東京都/アジア料理/1店舗)
■銀行窓口での両替に不便を感じる
・お客様にはお釣りを常に新札でお渡ししていますが、銀行に両替に行くと新札不足で在庫切れが多々あるので大変困っております(東京都/和食/1店舗)
・銀行によっては、新札発行に手数料がかかる(東京都/イタリア料理/1店舗)
■コストや手間の増大
・セルフレジのアップデート、部品交換などに費用がかかった(東京都/イタリア料理/1店舗)
・新紙幣対応ユニット交換が面倒(東京都/アジア料理/1店舗)
券売機や自動釣銭機を使用していない飲食店において、新紙幣の発行に伴う大きな問題はみられなかった。しかし、現金による会計の機会はまだまだ多く、会計間違いや両替のしづらさなど、付随する“小さな面倒ごと”はしばらく続きそうだ。
