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飲食店の7割以上が社会保険適用拡大などで人手不足を不安視。年末前にできる対策は?

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画像素材:PIXTA

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株式会社アイリッジとディップ総合研究所が、「アルバイト・パートのシフト調整に関する調査」の結果を発表。飲食業においては、今月からスタートした社会保険適用拡大や最低賃金アップの影響を懸念する店舗が多い現状が見えてきた。

■調査概要
対象:管理者…20歳~59歳の下記対象7業種でパート・アルバイトの管理に携わる社員
   アルバイト・パート…15歳以上の、下記対象7業種でパート・アルバイトをしている人
調査期間:2024年9月4日~9月13日
調査方法:インターネットリサーチ
サンプル数:管理者1,103名、アルバイト1,328名
対象業種:飲食業、販売業、製造業、物流・軽作業、接客・サービス業、レジャー・エンタメ、教育・学習支援業

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飲食業は他業界に比べてシフト調整の悩みが深刻

店舗管理者への調査では、管理者の70.1%が「シフト調整に悩んだことがある」と回答。業種別では、飲食業が86.2%と最も深刻な結果となった。

シフト調整で悩んだことがあるケース(複数回答)を質問したところ、「シフト確定後に欠勤や交代依頼などで急な調整が発生する(33.6%)」が1位に。とくに飲食店は44.6%にのぼる結果となった。なお、飲食業界の悩みの5位には「年末近くの、年収の壁によるシフト減少(28.5%)」がランクインしている。

引用:ディップ総合研究所

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今年10月からの「社会保険適用拡大」や「最低賃金アップ」についての質問では、全体で65.5%、飲食業では74.8%が関連する不安を感じていることが分かった。

飲食業管理者に抱える不安の詳細を訊ねたところ「年収の壁による働き控えから、シフトが埋まりにくくなる(33.3%)」、「年末に近づくにつれて働ける時間の管理がより煩雑になる(31.8%)」、「頻繁に出勤してくれる人のシフトを削る調整が必要になる(30.3%)」が上位にランクインした。

引用:ディップ総合研究所

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「働き控え」対策には「年収の壁・支援強化パッケージ」が有効

最低賃金が過去最高額の引き上げとなり、年収社会保険適用拡大となった今年。年末は、年収の壁を設けるパート・アルバイトスタッフの働き控えが起こる可能性がある。その対策としてぜひ利用したいのが「年収の壁・支援強化パッケージ」だ。

「年収の壁・支援強化パッケージ」は、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援する制度。年収106万円と130万円、それぞれの壁に対し対応策が打ち出されている。

■「106万円の壁」への対応策
従業員101人以上の企業などに週20時間以上勤務している場合、年収が106万円を超えると厚生年金保険・健康保険に加入することとなるため、労働者本人が社会保険料の負担を避けようと労働時間を調整してしまうことが考えられる。この対策として、労働者負担分の保険料相当額の手当支給や賃上げなどに取り組んだ企業に対し、労働者1人当たり最大50万円が助成される。

■「130万円の壁」への対応策
年収130万円を超えると、国民年金や国民健康保険料に加入するため、年金・保険料の支払いが発生する。繁忙期に労働時間を延ばし、残業や年末年始の特別支給などによって年収が130万円を超えた場合、「突発的な収入の増加」として事業主が証明することで、被扶養者として引き続き扶養に入り続けることが可能となる。

収入の壁を気にするパート・アルバイト従業員は、「年収の壁・支援強化パッケージ」に高い関心を持っていると考えられる。ただし、制度の活用は事業主が進める必要があるため、従業員と相談しながら活用を検討してほしい。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」