下北沢の“大人たち”が集う『meso』。経営の根幹は「シェフが輝く新しい飲食店の構造」
「食」は喜び。その喜びを、日本中へ届けたい
最後に、あくまで個人的な意見だとした上で、「飲食業に人が根付くために『待遇』は必要条件ではあるが絶対条件ではない」と桑原氏は話してくれた。お客が料理に味だけを求めないのと同じように、いかに「そこでしか得られない価値」「共感」、そして「自己表現の場」をつくれるかだというのだ。
「抽象的ですが『居心地がいい』ことはすごく大事。仲間同士が同じベクトルを向いている、もしくは少なくともリスペクトし合える関係でないと、シェフもサービスもソムリエも自分の力を発揮したいと思えません。そして、そんな彼・彼女らが自分の力を出したいと思った時に、思い切り表現できる環境を整えることも大切です。『食』はただの栄養源ではなく、心を豊かにしてくれるもの。食べる時、働く時、もっといえばただ『何食べようかな』と考えている時も、私たちは食の喜びを享受していると思っています」
おいしい料理一つで、心から幸せになれる「食」。あまりに日常すぎて、多くの人はその魅力や喜びに目を向ける機会がないからこそ、意識的に向き合う時間を届けたいと、エンターテイメントとしての飲食事業に力を注いできたと語った桑原氏。今後は自治体との連携も視野に、地方と都心のシェフのマッチングや地域活性化にも取り組む姿勢だ。『meso』、そして桑原氏の今後の活躍が、日本の飲食業に新しい風を吹き込むかもしれない。
『meso』
住所/東京都世田谷区北沢3-30-3 下北沢シャモット1F
電話番号/03-6407-0369
営業時間/17:00〜22:30(土日祝15:00〜22:30)
定休日/水曜・木曜
坪数・席数/17坪・22席
