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飲食店他での食べ残しの持ち帰りに関するガイドライン発表。デニーズなど大手チェーンも対応

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画像素材:PIXTA

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厚生労働省は2024年12月11日、「まだ食べられるのに食べ残して廃棄される」ことによって起こる食品ロスを削減するため、「食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン(2024年12月25日版)」を発表した。今回は、発表されたガイドラインの概要と、飲食店チェーン各社の対応をまとめて紹介する。

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ガイドラインのポイントと、押さえておきたい飲食店側の取り組み

まずガイドラインは「お客が食べられる量を注文して食べきることが基本で、どうしても食べきれなくて持ち帰る場合、衛生的に持ち帰るための指針」としている。また、食べ残しの持ち帰りはお客の自己責任が前提だ。

対象はレストランや居酒屋などの飲食店や、ホテルの宴会、ビュッフェ。テイクアウトやデリバリーは、顧客が飲食店やホテルの外で食べることを前提に販売するため対象外だ。

以下に今回発表されたガイドラインの要旨を箇条書きでまとめた。

【飲食店に求められる、食べ残しの持ち帰り注意事項】
・持ち帰りに適するメニューを判断する。ただし、十分に加熱されたもの、常温で保存ができるもの、水分が少ないものとする。
・容器は、基本的に飲食店側が用意し、それを客に使ってもらう。
・注意事項(清潔な容器、器具を使って行う/発熱や下痢などの体調不良のない、大人が行う)を伝えた上で、客に客自身で食べ残しを容器につめてもらう。
・フードコートなどの場合、異なる店舗の食品を同じ容器につめないように伝える。
・帰宅するまでの時間が長い場合や、気温が高い季節など、食品の衛生状態が悪くなるときには持ち帰り対応を行わない。
・従業員の対応を統一するため、マニュアルの作成や従業員教育にも取り組む。
・お客への留意事項(持ち帰ったら速やかに食べる/帰宅後すぐに食べない場合には冷蔵庫に入れるなどして保管する/異味、異臭などを感じた場合は食べない)をチラシなどにまとめ、配布または掲示する

なお、チラシの例は厚生労働省HPの資料を活用することもできる。

厚生労働省発表の資料より

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デニーズ、すかいらーくなど、飲食チェーン各社も食べ残しの持ち帰りに対応

飲食チェーン各社でも食べ残しの持ち帰り対応が進んでいる。デニーズでは全店で、環境省が推奨する食品ロス削減アクション「mottECO(モッテコ)」を推進中。「mottECO」は、環境に配慮したFSC(R)認証の容器を39円で販売し、食べきれない料理を持ち帰れるようにする施策だ。デニーズやロイヤルホストなど飲食店の他、ホテルなども参画している。

すかいらーくホールディングスも食品ロス削減に積極的だ。持ち帰り用の「もったいないパック」(20円)を用意している。

環境省の推計によると、2022年度の食品ロスは472万トン。このうち半分の236万トンは、商品の売れ残りや外食での食べ残しなどの事業系食品ロスが占める。さらに事業系食品ロス量の約4分の1は外食産業から排出されており、その排出要因の約半分は食べ残しとの推計が出ている。

今回「食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン」が策定されたことは、飲食業界において歓迎すべきことだ。なお、消費者庁でも食品ロス削減のためのガイドラインの策定が進められており、2025年度に2つのガイドラインを統合し、食べ残し持ち帰りの運用が始まることが発表されている。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」