飲食店必見「食品の消費・賞味期限」延長へ。消費者庁、ガイドライン改正案を3月中に発表
消費者庁は2025年3月中に「食品期限表示の設定のためのガイドライン」について改正案を正式に公表する。期限切れによる食品廃棄の基準を見直し、食品ロス削減につなげたい考えだ。今回は、18日の消費者庁検討会でまとめられた改正案の概要について紹介する。
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改正により、今よりも長い消費・賞味期限設定へ
食品の「消費・賞味期限」表示は、微生物試験や理化学試験などの保存試験を経て得られた、食品の品質や安全性が確認できる最大保管期間を基準に設定されている。これまで各事業者が加工食品に期限を設定する場合、品質などに変動が少ない食品については、この最大保管期間に対し「安全のための係数」をかけて表示していた。この安全係数とは、保存試験で得られた基準に対してかけられる1未満の係数のことで、「0.8以上を目安に設定することが望ましい」とされている。
しかし消費者庁の実態調査では、0.8未満の係数をかけるといった、必要以上に短い期限が設定される事例も確認されているという。そこで今回の改正案では、「食品の特性に応じて消費・賞味期限ともに安全性を決定する必要がある」とし、「安全係数は1に近づけ、差し引く日数は0に近づけることが望ましい」と記載された。これによって、事業者には今よりも長い期限表示が促される。
そもそも消費期限・賞味期限の定義とは?
そもそも「消費期限」とは、定められた方法で保存した場合、腐敗や変敗など安全を欠くことなく食べられる期限を示す。一方で、「賞味期限」は同じく定められた方法により保存した場合、品質が十分に保たれる期限のことを示し、期限を過ぎると安全に食べられなくなるというものではない。
改正案では、「期限表示については、消費者がその意味を正しく理解し、まだ食べることができる食品が廃棄されないようにすることが重要である」とし、賞味期限には「おいしく食べることができる期限」など、わかりやすい目安の表示を推奨している。
食品ロスは年間472万トン、経費2兆円超。正式改正によって期待されるロス削減
消費者庁が2025年3月に発表した資料によると現在の日本の食品ロスは年間472万トンとされ、地方および公共団体は廃棄物の処理に年間2兆円以上のコストを投じている。食品ロスの内訳は事業者と家庭からのロスが半々だ。食品期限に対する正しい理解は、事業者を通じて消費者にも求められている。今月中にも公表される今回の改正案によって、食品物販を行う飲食店事業者は、賞味期限・消費期限の見直しを行う必要がありそうだ。
