狙い澄ました坪月商80万円。恵比寿『肴場あおもん』に学ぶ1号店のブラッシュアップ術
最寄り駅のJR五反田駅から徒歩8分かかる閑静なオフィスエリア内に店を構えながら、15坪24席の規模で月商880万円を弾き出す繁盛居酒屋『酒肴あおもん』。同店を運営する株式会社青者は『あおもん』の2号店として『肴場あおもん』を2024年3月に東京・恵比寿にオープンし、こちらも1号店に負けない大ヒットを飛ばしている。
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幹線通り沿いにあるものの、店が位置するのは恵比寿駅と代官山駅の中間。日没後の店前歩行者数が少ない立地にもかかわらず、ずば抜けた集客パワーを発揮し、10坪30席の規模で月商800万円を叩き出している。
坪当たり月商80万円という超繁盛ぶりを見せているわけだが、特筆すべきは、同社代表の渡辺慎一郎氏が「坪月商80万円超えを狙っていた」と言い切ることだ。1号店は坪月商58万円。それをどうブラッシュアップし、坪月商80万円の激繁盛居酒屋を作り出したのか。そのポイントを探っていきたい。
坪当たり席数3席を確保するために設置した10人掛けテーブル
『あおもん』という屋号を踏襲していることからわかるように、『肴場あおもん』は1号店の『酒肴あおもん』を業態の下地にしている。客単価はいずれの店も5,700円。繁華街から外れた閑静なオフィス街立地、目立つ看板を設置しないファサード、青魚を用いた三大看板メニューなどが2店の共通点だが、一方でフード、ドリンクのメニュー構成や価格設定など変更点も多い。
その中で坪月商80万円を狙うために変えたのが坪当たり席数だ。『酒肴あおもん』は15坪24席の規模で坪当たり席数が1.6席。それに対し、『肴場あおもん』は10坪30席の規模で同3席を確保している。
渡辺氏は「『酒肴あおもん』も実は席数をもっと増やしたかった」と話す。居抜き物件の構造上、それが適わなかったが、『酒肴あおもん』が入居するのは新築されたビル1階。当然のようにスケルトン物件だったため、「『最大限に客席を増やす』という観点から施工会社と何度となく打ち合わせを重ね、店舗設計を練りました」と説明する。
客席はL字型カウンターとテーブル3卓で構成される『肴場あおもん』。席数を増やすために設置したのが10人掛けの長テーブルだ。
「客席の稼動率を上げるには2人掛けテーブルを多めに配置するのが定石。『酒肴あおもん』でもその手法を採っていましたが、少しでも席数を多く確保しようとしたら『テーブル間隔が狭い』というお客さまから苦情があったんです。それならいっそのこと、テーブルを分けずに長テーブルをシェアしていただく形にしてはどうかと発想を切り替えました」(渡辺氏)
懸念されたのが、長テーブルのシェアを嫌うお客がいるのではないかということ。しかし、「これまでのところ、シェアを嫌がるお客さまは0人」と渡辺氏は言い、しかも「長テーブルがお客さまで埋め尽くされると、居酒屋らしい賑やかさが醸成されるという点もプラスに作用しています」と続ける。
