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『すき家』異物混入で全店一時閉店&24時間営業停止。飲食店に求められる衛生管理とは?

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画像はイメージ。画像素材:PIXTA

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2025年1月と3月に商品への異物混入が明らかになった『すき家』が、害虫・害獣対策のため全店で一時閉店を行った。現在では、引き続き環境改善が必要と判断した約170店舗を除き、ほぼすべての店舗で4日午前9時から営業を再開している。今回は、『すき家』での異物混入に関する対応を時系列で紹介する。

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1月21日、みそ汁にネズミが混入

2025年1月21日、『すき家』鳥取南吉方店で提供したみそ汁にネズミが混入していたことが明らかになった。『すき家』の原因調査では、同店舗の大型冷蔵庫の扉が店の外に面しており、冷蔵庫のゴム製パッキンのひび割れからネズミが侵入した可能性があるとしている。味噌汁を準備した段階でネズミが混入し、従業員が目視確認を怠ったため気づかずに提供したようだ。同店舗ではすぐに一時閉店し、衛生検査や異物混入につながる箇所の対策を行うとともに、目視確認などの衛生管理について従業員に指導したという。その後、保健所の確認を行ったうえで、2日後に営業を再開した。

対策を行っていたものの、3月28日にはゴキブリの混入が判明

この1月の異物混入を受けて、『すき家』では全店舗で、目視確認の徹底や衛生教育、全店舗におけるゴミ庫の冷蔵化などの対策を行っている。しかし、3月28日には、昭島駅南店でゴキブリの混入が判明。同店舗では同日、自主的に閉店し、現地調査を行っていたが異物混入の経路や具体的な原因の特定はできなかったという。ただし、同店舗では以前から害虫が目撃されており、衛生状態に起因する異物混入とみられている。

画像はイメージ。画像素材:PIXTA

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4日間の全店一時閉店を経た『すき家』。今後は深夜3~4時に清掃作業を実施

これを受けて、『すき家』はショッピングセンター内などの一部店舗を除く全店において、3月31日午前9時から4月4日午前9時まで、害虫・害獣対策のため一時閉店。害虫・害獣の外部侵入、内部生息発生撲滅のための対策を行っていた。

『すき家』は3月の異物混入を受けて、一部店舗を除くほぼすべての店舗での24時間営業を取りやめ、毎日午前3時から午前4時の間、営業時間中には実施しにくい清掃作業を行うと発表。さらに、害虫・害獣の侵入経路の根絶などが難しい老朽化した店舗については順次改装を行い、害虫・害獣が侵入・生息しにくい厨房設計に見直す対策を行っていくとしている。

飲食店においては、害虫・害獣の侵入を完全に防ぐことは難しいかもしれないが、しっかりと衛生管理を行い、健康被害を引き起こさないような対策を行わなければならない。特に、飲食店ではHACCP(ハサップ)導入が2021年6月に完全義務化されており、今後ますます衛生意識の向上が求められている。HACCPとは、「Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)」の頭文字をとった造語で、衛生管理を「見える化」する手法だ。飲食店においては、HACCPをはじめとした衛生管理について、改めて見直す必要があるだろう。

▼『すき家』公式ホームページ
https://www.sukiya.jp/news/

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com