繁盛店を連発するBANの新業態『めし処 POOL』。ヒット店開発のキーはペルソナとAI
コロナ禍をきっかけとし、『原価ビストロBAN』のチェーン展開から多業態展開に経営の舵を切った株式会社BANが堅調に出店を重ねている。多業態展開の1店目は2022年10月にオープンした東京・人形町の居酒屋『チュウノジョウ』。2023年1月に同じ人形町エリアに2店目の居酒屋『一天張』をオープンすると、2023年に2店、2024年に3店を出店し、2025年もすでに3店を出店している。
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各店の売上も好調だ。『チュウノジョウ』は今なお最高売上を更新しており、スタンディングを含めた約20坪43席の規模で月商900万円に到達。『一天張』もスタンディングを含めて25坪51席の規模で月商1,010万円を弾き出している。
多業態展開にスイッチしてから3年足らずで9店を出店し、しかも繁盛店揃い。2025年2月にオープンした東京・渋谷の『めし処 POOL』の業態開発のプロセスを追いながら、繁盛店開発のノウハウを同社代表の小泉貴洋氏にうかがった。
「斉藤茜」と「鈴木大輔」。二人のペルソナが業態開発のキーパーソン
2025年4月末における株式会社BANの店数は『原価ビストロBAN』2店を含め、直営5店、フランチャイズ6店。多業態転換をスタートさせた後の主な業態別客単価は、『チュウノジョウ』が3,950円、『一天張』が5,500円、新橋の鉄板居酒屋『オカユカシ』が5,500円、恵比寿のビストロ『猫も杓子も』が5,800円で推移しており、『めし処 POOL』の想定客単価は6,600円に設定している。
店ごとに業態、客単価は異なるが、小泉氏からは「基本コンセプトはすべての店で共通しています」と意外な回答が返ってきた。そして、9店すべてに共通するキーパーソンとして挙げたのが「斉藤茜」と「鈴木大輔」の二人だ。
といっても、この二人は業態開発責任者など実在する人物ではない。業態ターゲットとして設定したペルソナなのだが、その設定の精密度、徹底度が半端ではない。性別、年齢、職業などの属性に加え、性格や価値観、外食傾向などおよそ5,000ワードにわたって詳細なキャラクターを設定しているのだ。
「業態コンセプトの根幹になるため、斉藤茜と鈴木大輔の具体的なキャラクター設定について公にはできない」(小泉氏)が、「二人のペルソナがどういうシーンで利用するのか」という切り口で各業態を組み立てていくのだという。
