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繁盛店を連発するBANの新業態『めし処 POOL』。ヒット店開発のキーはペルソナとAI

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中華酒場の売れ筋であるよだれ鶏をアレンジした「よだれ鴨」(1,100円)。1枚の購入単価が7,000円を超える亀甲向付の器を使用している

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AIをフル活用してメニュー1品1品のイメージを深掘り

また、『めし処 POOL』の業態開発で特筆されるのがAIをフル活用したことである。

小泉氏は「AIの可能性を徹底研究するために2024年9月~11月の3か月間、社員と話をする機会を最小限にし、朝から晩までAI漬けになった」と言う。今ではChatGPT、Gemini、Gen spark、Claude、Perplexityという5つのAIプラットフォームを使いこなし、さまざまな経営課題の解決にAIを活用するうえ、業態開発、商品開発にもAIを利用しているというから驚きだ。

たとえば、商品開発では小泉氏が1品1品の商品イメージを考え、総料理長の重松大樹氏がそれをレシピ化するというプロセスを採っているが、商品イメージをより膨らませるのがAIなのだという。

「私自身が斉藤茜と鈴木大輔になりきり、『日常の延長線上にある贅沢』というコンセプトの店で斉藤茜が食べたい料理は何か、鈴木大輔がデートで恋人にご馳走したい料理は何かといったテーマをAIに投げかけます。AIはその膨大な情報量によって私の頭の中にあったイメージをより具体的な言葉で表現してくれますから、重松との意思疎通を図りやすくなり、商品開発にかける時間も短縮できました」(小泉氏)

「いか雲丹とアボカドのぬか漬け」(825円)(画像提供:BAN)

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新たなペルソナを立てた新コンセプトの開発にもチャレンジ

「日常の延長線上にある贅沢」もAIとともに考案した業態テーマだというが、果たしてその精度はいかほどのものか。その問に対して「十分な手応えを感じている」という答えが小泉氏から返ってきた。

『めし処 POOL』の主客層は30代女性で、来店客の男女比は3.5対6.5。これは『チュウノジョウ』をはじめとした既存9店でおおむね共通しており、「想定通りの客層、利用動機を掴めています」と小泉氏は言う。

目標月商825万円に対し、直近の売上は月商725万円。目下のところ、客単価は5,800円で、想定客単価よりも800円低いが、「これはオープン時に採用したスタッフが現場の主力であり、まだ経験値が低く、プラス1品の注文につなげるだけのサービス力が伴っていないことが要因」と小泉氏は説明する。「逆に言えば、スタッフが経験を積めば解決できる課題」だと続けた。

すでに2025年にプロデュース3店、2026年に1店の出店が確定。「斉藤茜と鈴木大輔をペルソナにして10店近くまで店数を伸ばしてきましたが、業態がやや似通ってきた。ペルソナは何人も用意していますから、そろそろ新たなペルソナで新たなコンセプトの開発にもチャレンジしたい」と小泉氏は言う。ペルソナとAIを駆使した斬新な業態開発の手法に今後も注目していきたい。

アルコールは1合990~1,650円の価格帯で11種を常備する日本酒が売り

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『めし処 POOL』
住所/東京都渋谷区宇田川町37-16 レジディア渋谷1F
電話番号/03-5738-8455
営業時間/17:00~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)※日曜・祝日の営業は17:00~22:30(フードL.O.21:30、ドリンクL.O.22:00)
定休日/無休
席数/32
https://www.instagram.com/meshidokoro_pool

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。