「福井県美浜町」テーマで坪月商55万円。丸の内『サカバ ミハマ』のお客も喜ぶ“仕込み術”
【注目記事】オープン3か月で月商1,000万円。御徒町『三角』が仕掛ける新しい街でも“アタル仕組み”
半数以上を占める社員の精鋭が店を回すから強い
同店のもう一つの勝因は、スタッフの“マンパワー”。「メニュー開発にもこだわってきましたけど、スタッフたちが生き生きと働いていることが一番だと思います。お客さまからも『楽しそうだね』とよく言われますよ」と、島元氏は目を細める。
株式会社fun functionは、人材確保・育成にも注力する。退職・独立後も融資や物件探しから業態づくりまで、業務委託契約で手厚くサポートする独立支援制度を設けた。また、全店舗が日本橋、丸の内、浜松町、西新宿などオフィス街に出店しているため、日・祝休み(『牡蠣場 北海道厚岸 コレド室町店』を除く)の月10休制を実現。こうした企業努力により、現在約150人の従業員のうち半数以上を社員が占める。他社では人件費を抑えるため、店長のみ社員を据え、アルバイト・パートが脇を固めるケースも多い。だが、同社のどの系列店も社員比率が大きく上回る。
「『サカバ ミハマ』は次の店舗展開も考えている店なので、より社員比率が高いんです。現在は基本アルバイトなし、社員8人で回しています。だから社員がしっかり休める。一般社員はもちろん、店長も有休をとりやすい環境になっていますね」
営業中はキッチン3名とホール3名に、全体の指導役となる店長もしくは統括店長を加え、7名が稼働。毎日1人ずつ交代で公休をとれる仕組みになっている。繁盛店とはいえ、20坪のキャパで「この人数は多すぎ(苦笑)」(島元氏)。さらに全員社員の編成だから、仕事に対する意識、士気が高まり売上に結びつくのは言うまでもない。
「ご当地それぞれの価値がある商品を出しながらも原価は抑え、その代わりに人件費を段階的に徐々に上げるのが会社の方針です」
アンテナショップ型店舗ならではの知識と瞬発力を要する接客術
高人件費に関しては、「町ごとPRする」ご当地酒場の特殊性も加味されているに違いない。接客トークで現地の素材、名産品から町の魅力まで、コンパクトに伝えるスキルが求められるからだ。
「マニュアルはないですけど、ルールはあります。基本的にこれだけは伝えほしいという内容は決まっていて、それを10~20秒の間に話すように努めています。とはいえ、お客さまから質問がきたら時間は解放されますけど(笑)。『サカバ ミハマ』の場合、基本的に伝える内容は、食材の産地、魚なら天然なのか養殖なのかと、その餌について。魚の熟成法や調理法、食べ方も含めてです。その中から、お客さまごとに何が一番刺さるのかを瞬時に考え、取捨選択してしゃべらないといけません。『そこの上手さが必要だよ』と、教育しています」
教育の一環で、美浜町の漁場や熟成魚の加工場、農園、観光名所などを、店舗の社員が巡る研修旅行を年に一度実施。これも町役場公認というバックアップがあってこそできる、貴重な社会勉強といえるだろう。求人募集のPRになるのも利点である。
さて、店舗展開できる業態づくりを進めた『サカバ ミハマ』は、他エリアでの実践フェーズへ突入。2025年7月頭に西新宿に2号店『サカバ ミハマ シンジュク』をオープンさせる。今度は2フロア70席の大箱での営業に挑む。
「新店舗もオフィス街に出します。全店共通のコンセプトである、ワーカーさんたちが日頃、仕事帰りに飲める場所となるご当地酒場をつくりたいです」と、前のめりに話す島元氏。丸の内の現店長と数名の社員を連れて、西新宿に乗り込む所存だ。
『サカバ ミハマ トーキョー』
住所/東京都千代田区丸の内1-7-3 味の散歩道
電話番号/03-6810-0155
営業時間/11:30~L.O.13:30、17:00~L.O.22:00(ドリンクL.O.22:30)、土曜17:00~L.O.22:00(ドリンクL.O.22:30)
定休日╱日曜、祝日
坪・席数/20坪・40席(テーブル34席、カウンター6席)
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13261817/
