『スシロー』7年目となる一斉休業。働き方改革の一方、非正規従業員の収入減少など課題も
株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの子会社・株式会社あきんどスシローが運営する日本国内の『スシロー』全店舗で、去る5月13日(火)と14日(水)の2日間、一斉休業が実施された。この取り組みは、社員やその家族から高い反響を受け2019年から行われている一方、パートやアルバイトなど非正規雇用の従業員にとっては収入減につながるという課題も指摘されている。本記事では、スシローの一斉休業の目的や背景、そして浮き彫りになる課題について解説する。
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一斉休業によって働きやすい職場をアピール。人材確保につなげる狙い
日本国内の『スシロー』全店舗において、5月13日(火)と14日(水)の2日間、一斉休業が行われた。従業員の「より働きやすい環境づくり」の一環として2019年から行われており、今年で7年目となる。休暇ではなく一斉休業とすることで、店舗からの緊急連絡を気にすることなく、店長やマネージャーも心身ともにリフレッシュできる点がポイント。従業員やその家族からは好評を得ている模様だ。
大手飲食チェーン店では年中無休が一般的となっているが、近年の人手不足を鑑みても、労働環境の改善は喫緊の課題。働きやすい職場環境を提供することで、従業員のモチベーション向上に寄与するだけでなく、企業イメージの向上を通じて人材確保にもつなげたい狙いがあると考えられる。
また、今回の一斉休業が可能となった背景には、同社の好調な業績も関係しているだろう。米価格高騰の影響を吸収しつつ、株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの半期報告書(2024年10月〜2025年3月)では、連結売上収益が前年同期比15.8%増、純利益は同63.1%増と発表されている。
一方で非正規従業員の収入減という課題も
『スシロー』の従業員やその家族からは概ね歓迎されている一斉休業だが、非正規雇用の従業員にとっては収入減に直結するという側面も持ち合わせている。『スシロー』や『はま寿司』など、回転寿司チェーンの非正規従業員が中心となって組織する労働組合「回転寿司ユニオン」によると、『スシロー』の店舗運営を支える従業員の多くは非正規雇用であり、店舗休業は彼らの収入に直接影響を与えるという。
同ユニオンはこれまで、一斉休業日にかかる休業手当の支払いを会社側に求めてきたが、「所定労働日ではないため、休業補償を支払う義務はない」との理由で応じられていないとしている。さらに過去には、賃上げ要求に対する実質的なゼロ回答や、非正規従業員によるストライキの際に、ストライキに参加しない従業員を動員して営業を継続させたいわゆる「スト破り」があったとも指摘。これらの経緯を踏まえ、同ユニオンは一斉休業のあり方について再考を促している。
一斉休業は、正社員の働き方改革や福利厚生の面で評価される一方で、非正規雇用の従業員への配慮という点では、依然として課題が残されているようだ。大手飲食チェーンの動向は業界全体への影響も大きいため、今後の『スシロー』の対応に注目したい。
