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元診療所のカフェレストラン、代々木上原『sew』。価格競争と無縁のカフェのつくり方

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トマトとリコッタのオープサンド(1,300円)

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街のニーズとカフェ事業の利益構造から導き出した、カフェレストランという答え

そんな中で今回、『sew』をカフェレストランという業態にしたことにはいくつか理由があると井澤氏は話した。一つは、かねてからインスピレーションソースにするほど自身がオーストラリアが好きなこと。現地のカフェでは多くの店でしっかりとした食事を提供していて、人々がそこで好き好きに過ごす風景が魅力的だったそう。

同時に、そんなカフェレストランの姿は、幼稚園や保育園が多くあるこの街のイメージにぴたりとハマったという。今や飲食店激戦区となった代々木上原だが、『sew』の周辺は住宅街。近隣住民のニーズは高いと踏んだのだ。

さらに井澤氏は、「カフェ事業で高い売上と利益を生むモデルをつくるには、高単価を得る食事メニューは不可欠」と、ロジカルな経営戦略ものぞかせた。実際に『sew』のランチメニューは1,300円〜1,600円ほどと一般的なオフィスランチよりやや高めの設定だ。だが、金銭的に余裕がある住人が多いため「コストパフォーマンス < ここで過ごすこと」に価値を見出す客層に上手くマッチした。ユニークさや確かなおいしさも相まって、近隣住民にはすでに高い支持を得ているようだ。

メニュー(2025年5月現在)。

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クリエイティブにも確かな利益率を求めていくべき

最後に井澤氏は、事業全体としても、高い利益率とクリエイティビティが両立するビジネスモデルを目指し続けると語った。

ユニークなクラフトビールやナチュラルワインも。「リーズナブルな店もインフラとして必要だけど、僕らは別の道を目指したい」(井澤氏)

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「ドライにビジネスとして飲食業をするなら、もっと効率のいい正攻法があることはわかっています。でも、しない。自分たちが心からワクワクするものの中で、いかに利益を大きくするかに挑み続けたいから。ともするとクリエイティブな要素を含んだ飲食業は、利益率が軽視されがちです。でもそれではいつまで経っても業界は変わりません。かけるべきところには投資をしながら、仕込み時間、消耗品一つも利益に関わるという認識をチーム全体で共有し、利益を生み出していく。そうして業界随一、スタッフに還元できるブランドになりたいですね」

今後『sew』では、ディナーの訴求や営業時間の拡大などを通じて、飲食部門のみで月商1,500万円を目指していく方針だ。

「人々は日常に、明日への活力をもらえる場所を求めていると信じている」と井澤氏はやや謙虚に語るが、実際にand Supplyの各店が多くのお客で賑わっている様子を見ると、その仮定は間違っていないといえそうだ。

店は区立上原小学校の目の前

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『sew』
住所/東京都渋谷区上原2-38-9 フレグラントハイツ 1F
営業時間/木〜月9:00〜17:30/18:00〜23:00、火。水9:00〜17:30
定休日/なし
坪数・席数/35.1坪・店内22席、テラス8席
https://www.instagram.com/sew_yoyogiuehara/

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。