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食器・容器包装のポジティブリスト制度が完全施行。罰則を防ぐために飲食店が確認すべきこと

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画像素材:PIXTA

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2025年5月31日をもって、「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度」の経過措置期間が満了した。これにより現在、ポジティブリストに掲載されている物質以外は原則として使用が禁止されている。違反した場合は罰則が科される可能性もあるため、安全性が確認された物質のみを使用しているか、改めて確認が必要だ。

本記事では、消費者庁発表の資料に基づき、ポジティブリスト制度の概要、違反した場合の罰則、そして事業者が確認すべき点について解説する。

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ネガティブからポジティブへ。食品衛生法改正で導入された新制度

食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度とは、2018年の食品衛生法改正により導入された制度で、安全性が評価された物質のみを食品用器具・容器包装に使用できるようにするものだ。従来は、使用してはいけない物質を定めた「ネガティブリスト制度」だったが、使用できる物質のみをリスト化する「ポジティブリスト制度」へ転換したことで、より厳格な安全管理が求められる。

なお、ここでいう食品用器具とは食器や調理器具など、容器包装とは食品を入れたり包んだりするものを指す。

消費者庁食品衛生基準審査課の資料より

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違反時は1年以下の懲役または100万円以下の罰金も。事業者の責任とは

2025年5月31日までの経過措置期間中は、ポジティブリストに掲載されていない物質の使用も認められていた。しかし、この期間が満了した現在、リスト外の物質の使用は全面的に禁止されている。違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要だ。

■製造・販売事業者の責任
容器などの製造・販売事業者は、ポジティブリストに適合した物質のみを使用していることを確認し、その適合性に関する情報(仕様書や品質保証書など)をサプライチェーン上の次の事業者へ伝達することが義務付けられている。これは、万が一健康被害などが発生した際に、原因となった事業者を迅速に特定できる体制を整えるためだ。

■飲食店事業者がすべきこと
飲食店などの食品関連事業者は、仕入れ先などから適合情報を入手し、現在使用している食品用器具や容器包装がポジティブリストに適合しているかを確認する必要がある。もし適合していない製品があれば、速やかに適合品へ切り替えなければならない。

製品の仕様書や品質保証書で確認するのが基本だが、適合が確認できないものについては、使用を中止するのが安全だ。消費者の健康を守るためにも、食品自体の衛生管理はもちろん、器具や容器包装の安全性についても改めて確認することが重要といえる。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com