中目黒『食卓あおもん』22歳の女性店長が大活躍。大胆な「若手起用」の“狙い”とは?
調理技術の習得を目的にしたメニュー構成
もちろん、いきなり店長に就けるわけではない。
「まずは店長見習いからスタート」と渡辺氏。オープン時は自分が店に立ち、塩田氏は店長補助としてマネジメントについて学習。また、同社では店長が自店の商品開発も担当するが、「彼女は厨房の勤務経験がないため、現場に立つことで調理技術を習得できるようにメニューを組み立てました」と渡辺氏は説明する。
『あおもん』シリーズは「重さゼロ!のアジフライ 半熟or完熟」(1枚680円)と「青盛(お刺身の盛合せ)」(1,180円)を二枚看板とし、青魚を売りにしていることが共通点。その他のメニューが店ごとに異なるが、『食卓あおもん』では「へしこのポテサラ」(638円)や「自家製生たこキムチ」(858円)といったオーソドックスな居酒屋料理をひと捻りした商品を中心にしたメニュー構成を採っている。
そして、「調理技術を習得できる」という渡辺氏の考え方がよく表れた『食卓あおもん』の名物メニューが「普通のマカロニグラタン」(1,078円)である。
「冷凍食品でお馴染みの料理ですが、レストランクオリティのマカロニグラタンを食べたことがある人はあまりいません。丁寧に仕込んだベシャメルソースが味の決め手であり、仕込みを含めて調理経験を積みやすい料理なんです」
実際に塩田氏は「うろ覚えでベシャメルソースを作ったらダマになってしまった」と失敗談を語り、「少量だったら多少のブレはリカバーできますが、かさが増すとそういうわけにはいかない。大量調理の難しさを痛感しました」と反省の弁を述べる。
焼売の皮を用意し忘れたことがメニュー化のきっかけに
また、現時点で商品開発は渡辺氏が担当しているが、開発時には塩田氏に意見を求め、それを積極的に商品づくりに活かしている。
塩田氏の意見が強く反映された料理が「粗挽大葉豚焼売の春巻」(968円)だ。当初はオーソドックスな焼売を投入するつもりだったが、「居酒屋で焼売をあまり注文したいとは思わない」と率直な意見を述べた塩田氏。そして、商品を試作していた時に焼売の皮を用意し忘れていたため、試しに焼売の肉ダネで揚げ春巻きをつくったところ、「こちらの方が断然おいしい」(塩田氏)と商品化に至ったのだという。
ドリンクは既存2店とメニューの下地を揃えているが、塩田氏の女性目線を活かす形で挿入されたのが「本日の漬け込み酢サワー」である。638円の一律価格で2種を用意。取材時には「赤ジソ」「桃とローズマリー」をオンメニューしていたが、仕上がりの彩りなども意識して塩田氏が漬け込む食材をチョイスしている。
