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御徒町『三角』月商1,200万円までの道筋! 居酒屋激戦区を勝ち抜く戦略とチームの力

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沖縄で人気の野菜肉巻き店で修業を積むなど経験豊富な石川さん

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リピーターをつかむ月替わり「おばんざい」でスタッフも成長!

『三角』の成功を支えたのは“土台づくり”だけではない。立役者はオープン時から店長を務める石川彩紀さんである。石川さんは2021年の沖縄進出店『タチアタル2』のオープニングスタッフとして入社。當山さんの「東京で力を貸してほしい」という声に応じ、沖縄から上京した料理人だ。

「彼の参画でチームの可能性が飛躍的に広がった」と當山さんが高く評価するように、石川さんは理念を具体化し、スタッフ一人ひとりの成長を牽引。彼のリーダーシップが『三角』のチーム力を高めた。

メニュー表の3分の1を占める名物の枠。圧倒的な人気でリピーターを魅了する

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具体的なエピソードとして、例えば『三角』の名物である月替わりの「おばんざい」の変化が挙げられる。當山さんは当初「誰でも作れるレシピ」を重視していたが、石川さんの助言で方針を転換したという。

「シンプルなメニューで喜ばせる基本は変わりませんが、その土台の上でスタッフの技術力や向上心を活かすような挑戦も後押しできればと考えました」

感度の高い客層に合わせたメニュー開発にやりがいを感じているという石川さん

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「おばんざい」には全スタッフが1か月間考え抜いたアイデアを反映し、リピーターを飽きさせない工夫を詰め込んでいる。仕込みに手間をかける一方、オーダー後は素早く提供できる設計だ。

毎月「お客さまの期待を超えるアイデアを生み出さなければ」といったプレッシャーはあるものの「その負荷こそが、スタッフの成長につながります。アイデアが採用されればモチベーションも高まりますし、飲食業への熱意にもつながります」と石川さん。

「おばんざい 全種 六種盛り」(一人前1,760円※写真は二人前)。注文率は70%を超える

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「メニューの説明も熱量が命です。新しいメニューを覚える段階で、たどたどしくても熱意が伝わればお客さまにも響きます」と石川さんは笑う。

「例えば、白和えは個性的な味付けを取り入れるのが定番です。今月は豆腐とマスカルポーネをクリーム状にしたものに烏龍茶の香りを乗せ、桃に合わせました。白和えにはコーヒーの香りを乗せることもありますし、その月々の変化が楽しめますよ」

料理をより楽しむための解説とともに、翌月の再来店までうながす巧みな接客。「目配り、気配り、心配り」という社訓を大切にし、会計時などにも「気の利いた一言」を伝える意識を共有することで、リピーターを増やしている。

メニューと料理を指差し、丁寧に説明。料理の背景やアイデアを伝える接客も強み

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。