17坪で月商1,000万円。御徒町『まつうら食堂』の「二枚看板+α」戦略の全貌
おでんは出汁を個性化し、王道の具材で勝負
では、具体的にそのメニュー構成を分析してみよう。『まつうら食堂』のフードメニューは329~879円を中心価格帯として10カテゴリーで計65品をラインアップしている。
名物の手作り肉焼売は「蒸し」(1個329円)、「揚げ」(1個329円)、「焼き」(2個659円)に加え、おでん出汁で炊いた「おでん」(1個329円)の4種を用意。焼売の餡には1cm角の豚肩ロースをひき肉に合わせ、肉のゴロゴロとした食感を出している。
煮干し出汁おでんは274円、329円、384円をプライスポイントとして単品14品をラインアップ。おでんに使用しているのは煮干し、鰹節、昆布を同比率で合わせた一番出汁で、羽毛田社長は「京風の薄口だと物足りないため、出汁の風味を利かせつつ、しょうゆの味をやや濃いめにしています」と説明する。
京風の薄味のおでんが主流の関東圏で、あえてしっかりした味に振ることで差別化を図っている一方、おでんネタは王道の品ぞろえだ。売れ筋は「味染み大根」(384円)、「半熟玉子」(329円)、「牛すじ」(384円)、「こんにゃく」(274円)。
「専門店はネタのバリエーションが豊富ですが、スタンダードなおでんをきちんと出す店は意外と少ない。オーソドックスなおでんダネを、きちんとしたおでん出汁で食べさせることが客層、利用動機を広げる意味でもポイントになっています」と羽毛田社長はその狙いを説明する。
おでん出汁で釜めしを炊き上げる。第3の柱が生むクロスセル
『まつうら食堂』ではもう一つの名物メニューとして『まつうら』でも好評だった釜めしを投入している。その意味では二枚看板ではなく、三枚看板戦略が正しい表現になるわけだが、この釜めしの存在がとくに効果を発揮しているのが客単価アップだ。
釜めしは9品をそろえるが、その価格設定は『まつうら』の中心価格帯が600~700円台だったのに対し、『まつうら食堂』のプライスポイントは1,869円。『まつうら』では固形燃料を使って卓上で炊き上げていたが、『まつうら食堂』では釜めし専用のガスコンロを導入してクオリティアップを図っている。そのうえでさらに商品力を高めるため、重視したのがメニューのストーリー性だった。
前述したようにおでんには煮干し出汁を使用しているが、釜めしも水ではなく、煮干し出汁で炊き上げている。『まつうら』では刺身、串焼き、釜めしはそれぞれに独立したメニューカテゴリーで、名物メニューとして結びつきはとくにない。『まつうら食堂』では煮干し出汁という共通点を用意し、「おでんと焼売をつまみ、釜めしで締める」と流れをつくることによって客単価を引き上げているわけだ。






