坪月商68万円、湯島『角打ち割烹CONBU』。繁盛の鍵は“柔軟な決断力”と“居心地のよさ”
激戦区でも“埋もれないための商品戦略”と“高回転オペレーション”
メニュー構成を考えるうえで意識したのは、“埋もれない居酒屋”であること。
「この辺りは飲食店が多いので、特徴がないと埋もれてしまいます。ただ料理を出すだけではなく、“ちゃんとしている店だ”と感じてもらえることを意識しました」
その象徴の一つが、九谷焼や有田焼といった器へのこだわりだ。リーズナブルな居酒屋でありながら、割烹のような“本格感”を演出することで、他店との差別化を図り、結果として客単価の向上にもつなげている。
看板メニューは、刑事ドラマからインスピレーションを得て考案した「関東どて焼き」(1本260円)。「居酒屋で飲んでいるシーンを見て『あれは何を食べているんだろう?』と想像を膨らませながらレシピを考え、何回か試作しながら形にしていきました」と落合氏は笑う。
どて焼きといえば、関西では牛すじを煮込むのが一般的だが、同店では厚切りの豚バラ肉を使用。数種類をブレンドした合わせ味噌に、ニンニク、ショウガ、ネギ、カツオ出汁を加え、さらに3時間ほど煮込んだ特製味噌ダレを塗って焼き上げる。香ばしい味噌の風味と豚の甘みが重なり、「何本でも食べられる」と幅広い層から支持されている。
〆の一品として推しているのが「貝汁と飯」(1,200円)だ。開発のきっかけは、落合氏が鹿児島を訪れた際に入った深夜営業の定食店。周囲の客たちが貝汁とご飯を食べているのを見て自身も注文し、「飲み終わりに食べるなら、ラーメンよりもサラッと食べられていいかもしれない」と思いついたという。
ベースとなる味噌汁に、さまざまな貝の出汁を使用しつつ、具材はアサリのみに絞って旨みを凝縮。アサリの身をご飯に乗せ、豚味噌と一緒に味わうスタイルが好評だ。
また、限られた空間で営業するうえで、オペレーション効率も重視。コンパクトなキッチンを補うため、完成形に近い状態まで仕込めるメニューを多数採用した。例えば「ずわい蟹 かにみそ クリームコロッケ」(630円)は、貝殻にタネを詰め、パン粉を振った状態まで仕込んでおき、注文ごとに殻ごと揚げるスタイル。提供スピードと見た目のインパクトを両立し、人気メニューの一つとなっている。
他にも、多彩な業態を経験してきた落合氏ならではの発想が随所に見られる。たとえば「ブロッコリーのあたりめディップ」(650円)は、ベトナムのエビ発酵調味料“ガピ”をマヨネーズに合わせたことがきっかけ。偶然、あたりめのような風味になったことからメニュー化したという。
「アイデアが浮かんだらとにかくメモしています。他の飲食店で食べておいしかった料理からヒントを得て、自分なりにアレンジすることも多いですね」
ドリンクは角打ち割烹らしく、日本酒を主軸に据えた。これまでワインをメインに扱う業態が中心だったこともあり、店長は日本酒について猛勉強したという。
現在は、来店客との会話を通じて、その日の気分や料理に合わせた日本酒を提案している。この他、ワイン酵母とレモングラスを使用した「MUGY(ムギー)」(700円)や、白芋と赤芋をブレンドした「EMO(イーモ)」(700円)など、ひと工夫加えた焼酎のソーダ割りも同店の特徴だ。




