月商1,600万円は通過点。『赤羽割烹おもち』に聞く、せんべろの街で“売れる”店づくり
ドミナント戦略でも姉妹店と“かぶらない”メニュー開発
料理は居酒屋の王道、「お刺身盛合せ」と「焼鳥」にSNS映えを狙った「八寸前菜おまかせ盛り」を加え、3大名物とした。メニュー全体の構成自体は「姉妹店と似たような料理が多い」ものの、新感覚の割烹酒場は盛り付け(見せ方)や提供スタイルで差別化を図っている。
それを顕著に表しているのが、「お刺身盛合せ」。姉妹店も含め、魚介を豊洲市場の仲卸から仕入れるが、“丸”の状態から扱うのは『おもち』だけ。調理学校出身の料理人がさばき、寿司1貫も加えた10点を美しく盛り付ける。さらに生菊をあしらい豪華さが増す。使う大皿は濱田氏が中古食器店で探してきた「料理の雰囲気に合うもの」。「八寸前菜おまかせ盛り」などの小鉢・小皿も同様で、その料理のためだけに使用する「専用皿」が多いのも姉妹店との違いだ。
「八寸前菜おまかせ盛り」は、八寸サイズのお盆を10品の和洋中などの可憐な小鉢料理で彩り良く埋める。予約客の大半が注文する売れ筋だ。内容は定番4~5品以外は、その日の仕入れ次第。プラス「近所の八百屋さんに通い、良さそうな旬素材を見つけて、自分が即興で料理を考えています。属人化していますね」と、濱田氏は苦笑いをつくる。
国産地鶏を扱う焼鳥は仕込みの労力を減らすため、近隣の系列店、鉄板焼き居酒屋『刻刻刻刻座』と同じ、串に刺さないスタイルを採用。ただし、鉄板ではなく炭火で焼く。また、部位ごとに味付けを加える。「とりもも」の自家製ダレのほか、「せせり」はおろしポン酢で、砂肝は「砂肝ガーリック」として提供。ひと手間こそかかるが、基本的に塩・タレの選択肢をゲストに与えないことで、「(焼き場の)オペレーションが楽になるし、逆にお客さまも喜んでくれる」と、濱田氏はメリットを挙げる。
目標客単価5,000円以上を狙うオーダーコントロール
接客に関しては、3フロア営業のため、必然的にホールスタッフの人数が多くなる。1階厨房からの料理の配膳はもちろん、テーブル会計のため1階レジへの往来も発生。平日でも1階1~2人、2階2人、3階3人の計6~7人を配す。効率アップの施策としては、各種ドリンクを各階で作る体制を整えた。オープンキッチンの1階は、4~5人の調理スタッフが接客も兼務するが、濱田氏は悩みを打ち明ける。
「調理スタッフには、カウンター越しに(お客の)前から料理を出し、接客もしてほしいと伝えています。けれども、上階から注文が殺到すると忙しすぎて暇がない。そのギャップを埋めるために人員配置を変えるなど、今後修正が必要かなと思います」
このように『おもち』の運営は、発展途上の段階。売上=客数×単価のうち、前述の通り客数は稼ぐものの、単価を思うように上げられていない。2軒目利用のフリー客が多く、平均客単価は『うらめし屋』と同等の約4,000円に留まる(ただし『おもち』はお通しなし)。だから『おもち』では、お客に対するオーダーコントロールを徹底。10品の「八寸前菜おまかせ盛り」はペアだと量が多いので、あえて前菜5品の「ちょこっと盛り」(1,078円)を勧めて、他の料理の注文につなげる。同じく「お刺身盛合せ」も、刺身5品の「ちょこっと盛り」(1,480円)を用意。食事の後半に〆のご飯もの、デザートの注文を誘発するため、スタッフが一声かけてオススメすることも忘れない。忙しくてもモバイルオーダーを導入しないのは、接客の質と単価アップのためだ。





